「やられたらやり返す」内山高志の本質 リベンジとベルトを懸けたコラレス戦へ
「初めての世界戦が決まったときのような気持ち」
ジェスレル・コラレスとの再戦が決まった内山高志。「借りを返す」とリベンジに闘志を燃やす 【スポーツナビ】
「自分で負けておいて贅沢なんですけども、やっぱり負けた相手とやりたい、というのが一番です」
胸の内を吐露した現役続行会見から1週間余りが過ぎた21日。大みそかに再戦内定の既報どおり、ボクシングの前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志(ワタナベ)の対戦相手が正式に現王者のジェスレル・コラレス(パナマ)に決まった。
「もう6年前になるんですけど、初めて世界戦が決まったときのように気持ちが上がっています」と希望が叶えられた心境を表現した内山。3度のダウンを奪われ、2ラウンドKO負けを喫したコラレスに対し「あれだけ一方的にやられた相手なので、次はどうやって借りを返してやろうか、という楽しみのほうが強い。とにかくリベンジしたい気持ちだけです」と笑顔を浮かべた。
敗戦後は体力を確認しながら体を動かした
敗れた直後は「落ち込んで、自分はもうダメかなとか、いろいろ考えた」と振り返る。だが、1週間も経つと「身近な人間には『コラレスともう1回やれねえかな』みたいな話はしていた」と明かした。
「何もしないで終わって、悔いが残ったのが大きかった。ああやって一方的に負けたまま辞めるのは悔しかった」
抑えようもなく湧き上がってくる思いは、内山のボクサーとしての根っこであり、プライドであっただろう。
それでも、しばらくは自分自身と向き合い続けた。コラレス戦から3日後には軽めのランニングを再開していたが、11月10日で37歳。最低限、体を動かしながら、という判断だった。
「(世界王者として)気持ちが張っていたことで、これまで頑張ってこれたのもあった。負けたことで気持ちが落ちて、気持ちが落ちることで体力も落ちるんじゃないか、という心配があったので、それを確かめながら」
周囲からの期待も考慮し、最後は自身で決断
「周囲の方は気を遣ってくれて、現役を続けても、辞めても、どっちになっても応援するからと言ってくれていた」という一方で、続けてほしいという言外の思いをひしひし感じていた。「まだまだ自分の試合を見たい人がいるということで、それはうれしかった」と述懐するが、現役続行については誰に相談することもなく、あくまで自分で決めたと強調した。
自身の気持ちと体のバランスを確認し、自ら意志を固めるまでの過程を聞きながら、内山が以前、語っていた、アマチュア最後の大会となった2004年10月の埼玉国体のことを思い出した。