三浦大輔が25年間投げ続けられた理由 立浪和義氏が語る好投手の条件

週刊ベースボールONLINE

最終登板で力投する三浦。最後まで真っ向勝負を貫いた 【写真=BBM】

 横浜DeNAの三浦大輔投手が引退を発表し、9月29日、横浜スタジアムでのラスト登板を終えました。打者1人のセレモニーではなく、ふだんどおりの先発登板で、打たれはしましたが、素晴らしい引退試合だったと思います。通算172勝と名球会の200勝には届きませんでしたが、チームも初のCS進出を果たし、完全燃焼の引退ではないでしょうか。

外角が非常に遠く見えた

 私も現役時代よく対戦しましたが、打者の右左にかかわらず、アウトコースへのコントロールはナンバーワンでした。私は左打ちでしたが、外角が非常に遠く見えたことを思い出します。そのときは、はっきり意識して観察していませんでしたが、打者の左右で微妙にプレートの位置も変えていたのかもしれません。

 いい投手の条件は、外の真っすぐの制球力に加え、緩急、横のゆさぶり、タテの変化があることです。三浦投手はスライダー、ツーシーム、そして緩いカーブも抜群です。フォークボールもあったし、まさに好投手のすべての条件を備えていました。球速に関しても確かに140キロ前後で速くはありませんでしたが、打者の手元で伸び、スピードガン以上の威力がありました。

カット系を覚えてレベルアップ

 私が特に苦手にしたのは、スライダーです。最初は1種類で、さほど苦手意識はなかったのですが、カット系の小さいスライダーを覚えてから厄介な投手になった印象があります。しかも、それを狙っていくと、外のシンカーやフォークボール系の緩い球で引っかけさせられる。制球の良さと球種の豊富さがあってこそですが、非常に駆け引きのうまい投手でした。

 三浦投手が全盛期の1990年代後半から2000年代半ばというのは、彼と川上憲伸(元中日)、上原浩治(当時巨人)の3人がセ・リーグを代表する制球力を誇り、皆、長く活躍しています。三浦投手も43歳まで25年間投げ続け、15年まで23年連続勝利ということですが、それだけ節制し、かつ理にかなったフォームだったということでしょう。14年からは兼任コーチということで選手一本の時代と比べ苦労は多かったと思いますが、これはものすごく勉強になったのではないでしょうか。

 これからどうするか正式には発表されていませんが、いつかDeNAのユニホームを着て、指導者として頑張ってもらいたいと思います。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント