前代未聞の大誤審「見てなかった事件」 カネシゲタカシの『ぷぷぷぷプロ野球』

カネシゲタカシ

福本豊さんならあり得るが…… 【イラスト:カネシゲタカシ】

 10月8日、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦・巨人対横浜DeNA(東京ドーム)で前代未聞の審判ミスが起きました。

 8回裏2死二塁の場面で、DeNAは投手を田中健二朗から三上朋也に交代。三上が投球練習を終えると、巨人の代打・相川亮二が打席に。

 ここで球審は右手を上げて「プレー」の合図を出しました。これは映像にもはっきりと残っています。

 そしてバッテリーは長めのサイン交換ののち、すかさず二塁にけん制。飛び出していた走者・吉川大幾は慌てて戻りますが、タイミングは「タッチアウト」。バッテリーの冷静な判断で大ピンチを脱出……となるハズでした。

 ところが二塁塁審はそのプレーにジャッジを下すことなく、ただ眺めるだけ。グラブを掲げてアピールする遊撃手の倉本寿彦に、いやいや、プレーがかかってないよとばかりの素っ気ないジェスチャー。
 
 当然アレックス・ラミレス監督はベンチを飛び出し抗議するものの、球審と塁審は数秒の合議の末それを認めないと判断。指揮官もしぶしぶ引き下がり、DeNAファンの大ブーイングの中、試合が再開されました。

 ええ!? プレーかかってたじゃない! みんな見てたじゃない!

見ていても見ていなくても「職務怠慢」

「アウト」「セーフ」以前の“見てませんでした”は、ちょっと僕の記憶にありません。おそらく「誤審」というよりも、審判による「職務怠慢」という言葉のほうがふさわしいでしょう。

 この件に関して、ラミレス監督は翌日の試合前にこうコメントしています。

「塁審はプレーの瞬間を見ていなかった。プレー(のコール)がかかっていないのジェスチャーだったが、抗議に行ったときには『セーフのタイミングだった』の回答だった。塁審がしっかりと見ていればビッグプレーになっていたと思う」(日刊スポーツより引用)
 そう、明らかに二塁塁審は球審によるプレーの合図を見逃していました。“見ていなかった”なら職務怠慢。百歩譲って“見ていた”としても、けん制の瞬間にセーフのジャッジをしなかったのなら職務怠慢。どちらにせよ怠慢です。

 しかし、おそらく見ていなかったけど、見ていたことにした可能性が高く、球審もそれを追認したというのであれば、本当にひどい話です。

 公認野球規則の『審判員の資格と権限』という項目には「試合を主宰するとともに、競技上における規律と秩序とを維持する責にも任ずる」とあります。しかし、職務怠慢をウソでカバーする秩序維持など言語道断。そんな主宰者のもとでゲームは成立しません。

「ごめん、見てへんかった」で許されるのは福本豊だけ!

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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