菅野に並んだドラ1候補・佐々木千隼 直球だけの投げ込みで闘争心も復活
マウンド上で時にはほえる場面も見せるほど、強い闘争心が持ち味 【撮影:高木遊】
佐々木の投球フォーム
監督の親心に応えた復活劇
そう切り出すと桜美林大・津野裕幸監督は声を詰まらせ、目には光るものがあった。10月8日に行われた首都大学秋季リーグで、佐々木は東海大打線を3安打無失点に抑え、1対0で完封勝利。2009年のリーグ加盟以来、9敗1分だった東海大戦の初勝利をチームにもたらすとともに、自身の年間完封数を「7」とし、東海大・菅野智之(現巨人)が11年に樹立した記録に並んだ。
だが、津野監督の言葉からも分かるように、この2週間は苦しい投球を強いられてきた。9月25日の日本体育大戦では延長12回で自責点2、10月1日の帝京大戦では9回3分の2を投げ自責点2の内容でともに敗れ、優勝争いから一歩後退する結果となった。そして、その結果以上に津野監督が気になったのが投球スタイルだ。
佐々木をスカウトした實川淳之介助監督が「(第一印象で)投げっぷりの良さに、すごく引かれました」と語るように、闘争心あふれる投球がその成長を支えてきたが、鳴りを潜める部分があった。
佐々木は「変化球でかわせば大丈夫という気持ちがありました。逃げに回る姿勢をチームメートに見せてしまいました」と振り返る。
そこで津野監督は、帝京大戦からの1週間はストレートのみを投げ込ませた。また、2人きりでの対話も重ね「闘争心がなければ、おまえじゃない」と語りかけるなど、本来の佐々木の姿が戻るよう心を砕いてきた。
その親心に応える好投劇に、思わず目頭が熱くなってしまったのだ。