マカヒキの凱旋門賞挑戦を支える人々〜ノーザンF天栄・木実谷雄太場長〜

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調整のキーマンに話を聞く

ダービー馬マカヒキが世界の頂を狙う(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】

 前哨戦のニエル賞をきっちり制し、今週末、いよいよ凱旋門賞に挑戦するマカヒキ。直前になって有力馬の回避も発表され、日本競馬の悲願達成がすぐそこまで迫っているムードがあります。

 大きな舞台で結果を出すには、運を味方にすることもさることながら、地道な下準備こそが大切。ダービー後からトレセンに帰厩するまでの大事な調整を担ったのが、福島県にあるノーザンファーム天栄です。場長の木実谷雄太さんに、海外挑戦の舞台裏をお聞きします。(取材:編集部)
(文中敬称略)

激戦を制したダービーの後は

――ニエル賞の勝利おめでとうございます。状態やレースぶりなど、様々なことに注目しながらの観戦だったのではないですか?

木実谷 そうですね。管理させていただいている馬が他にもいますので、現地に行くのはなかなか難しくて、こちらで映像を見ながら応援していました。画面を通してですが、馬場入場からすごく落ち着いていたのが印象的で、向こうに行って初めての環境にもうまく順応してくれたのが分かりましたね。それに加えてレースはかなり遅いペースになったと思うんですけど、折り合いもしっかりしていましたし、そういった部分でも改めてセンスの高さを感じました。

 着差としてはわずかではありましたが、本番に向けての仕上がり状態と海外でのパフォーマンスを見極める上で、意味のあるいいレースになったんじゃないかなと思います。レース自体も、力を使ったのは最後の2ハロンくらいですし、疲れもさほどないのではないかと思いますね。

――ノーザンF天栄でマカヒキを管理したのは、今回で何度目になるのですか?

木実谷 デビュー戦(2015年10月)の後とダービーの後なので、今回で2回目になります。初めて入場した時から大人びた印象を持っていて、良い意味で完成されているなと感じていました。ダービーの後に久しぶりに馬を見させていただいたのですが、若干背が高くなったことと、以前にもまして無駄なことをしなくなっていました。気性面の成長は重要ですし、心身共に順調に成長していることを感じました。

2着のサトノダイヤモンドとの着差はわずか8cm。激戦のダービーの影響は?(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】

――ダービーは、2着のサトノダイヤモンドとの着差がわずか8cm。激戦の影響は見受けられましたか?

木実谷 ダービーはかなり激しい競馬だったと思うのですが、それでも順調な回復ぶりを見せてくれました。普通はクラシックを戦った馬というのは、回復にかなり手間取るものなのですが、マカヒキに関してはとても順調で、心配な点と言ったら暑さくらいでした。

 今回マカヒキが天栄にいたのは1か月半で、いつも同じスタッフが乗っています。来てすぐの2週間ほどは軽めの運動で馬体を回復させて、そこから騎乗運動を開始しました。最後は、フランスで最終追い切りをするための基礎体力を付けるような調整ですね。

――海外を目標にとなると、調整も普段とは違う内容になるのでしょうか?

木実谷 海外に行くからといって、特別なことをするわけではないですね。天栄としては、これまでにもドバイやオーストラリアなど、海外遠征に備えた調整を行ってきましたが、牧場の役割、トレセンの役割がそれぞれありますので、あくまで海外への出発日だったり、競馬の日程から逆算して調整することが大事だと思います。今回のマカヒキに関しても、出発の日程から逆算した調整に重点を置いて、メニュー通りに調整することができました。

――凱旋門賞を直前に控え「日本馬初の快挙」への期待も高まっています。今のお気持ちはいかがですか?

木実谷 「日本馬初」という期待は大きいと思うのですが、私たちとしては“初めて”に限らず、一戦一戦を大事に、どのレースでも勝ちたいという姿勢です。今回勝ったとしても、また来年以降にも凱旋門賞を勝ちたいですし、海外の他のレースも国内のレースでも、常に勝ちたいという気持ちを強く持つことに変わりはありません。

 マカヒキのように自分たちの携わった馬が、世界の最高峰の舞台に進んでくれるのは本当にうれしいことですし、素晴らしい馬に携われたことに感謝しています。がんばってほしいですね。今回の経験は天栄にとっても貴重なもので、今後に向けての大きな糧になることは間違いありません。この経験を生かして、これからも強い馬作りに邁進していきたいと思います。
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