地区優勝間近のレンジャーズの強さ 誤算続きも穴を埋める選手が次々台頭
クラブハウスで本格的な卓球!?
8月30日、オドルの逆転サヨナラ2ランを喜ぶレンジャーズ勢。中央にはダルビッシュの姿も見える 【写真は共同】
最初は“ピンポン”だったが、6月ぐらいからは本格的な“卓球”になった。去年まで東京ヤクルトの守護神だったトニー・バーネットなどは、ドライブも打つし、スマッシュも決める。ラケットは5〜6本あるが、いずれもそこそこのラバーが張られていて、あれならある程度の回転もかかる。
やっているのは主にリリーフ投手陣だが、台が空いていれば、エルビス・アンドルス、ジュリクソン・プロファー、ルーグネット・オドルらも打ち始める。18日の朝も、台を使っていたのは主にその3人だった。
さて、そんな様子を見て、チームを仕切り、いろいろと小煩いエイドリアン・ベルトレが何も言わないということは、特にチームにとってマイナスではない、ということか。なによりチームが勝っている限り、ベルトレといえど、目くじらを立てることはない。
投打の主力に計算外の不調とケガ
ア・リーグ西地区首位タイで並んでいた6月3日のマリナーズ戦に勝って地区1位になってから、一度もその座を譲らず、後半に入ってからアストロズが2.5ゲーム差に迫ったが、それが最小ゲーム差だった。このままいけばア・リーグ最高勝率となり、ワールドシリーズまでのホームフィールドアドバンテージを得る。
もっとも、6月以降は半ば独走だったわけだが、すべてがうまくかみ合ったわけではない。
まず、昨季35セーブを挙げたショーン・トーレソンが4月には8セーブを挙げたものの、5月に入って立て続けに打ち込まれ、クローザーを外れた。打つ方では、カムバック賞を昨季受賞したプリンス・フィルダーが首の故障で、事実上の引退に追い込まれた。秋信守も故障が続き、まともなシーズンを送れていない。
MVP級の活躍を見せるオドル
まず、トールソンの代わりにクローザーとなったサム・ダイソンが34セーブ(9月18日終了時点)をマーク。バーネットはキャンプの時点で、メジャーに残れるかどうか分からなかったが、今や貴重なセットアッパー。防御率2.15は、1試合しか投げていないブライアン・ホラデーを除けばチームトップだ。また、2004年のドラフトで全体の1位でパドレスに指名されながら、打者としても投手としても行き場を失い、ついには飲酒運転でひき逃げ事件を起こすと逮捕され、服役したマット・ブッシュと昨年10月30日の出所を待って契約。するとその彼が今、セットアッパーの1人としてチームを支えている。
オフェンスでも、新人のノマー・マザラが台頭。秋信守の穴を容易に埋めた。また、キャンプが始まってから本来遊撃手のイアン・デスモンドと契約し、外野へコンバート。これが成功し、デズモンドは3割近い打率を残し、今年のオールスターゲームにも選ばれた。
だが、なんといっても想定以上に大化けし、MVP級の活躍をしているのがオドルか。5月、セカンドベース上の接触プレイでホゼ・バティスタの顔面を殴って、7試合の出場停止処分を食らったが、現在チームトップの31本塁打を放つなど、主力に成長した。8月30日のマリナーズ戦では1点リードされた9回に劇的なサヨナラ2ランをセンターのバックスクリーンに放ち、それが今季の活躍を象徴している。