錦織、ワウリンカ撃破のポイントは? 取るべき策は「バックハンド封じ」

スポーツナビ
 テニスの全米オープンは日本時間10日、男子シングルス準決勝が行われ、第6シードの錦織圭(日清食品)は第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)と対戦する。

 準々決勝で世界ランキング2位のアンディ・マリー(イギリス)を撃破した錦織。次に立ちはだかるワウリンカは31歳、世界ランキング3位の実力者だ。2年ぶりとなる決勝進出、そして日本勢初となるグランドスラム制覇に向けて、錦織に必要なこととは? 日本体育大テニス部監督の森井大治氏に聞いた。

錦織の調子は上向き

悲願のグランドスラム初制覇まで残り2勝と迫った錦織。決勝の懸かる大事な1戦のポイントを森井大治氏に聞いた 【Getty Images】

――錦織選手が準決勝まで勝ち上がりました。まずは、ここまでの戦いぶりをどう分析しますか?

 1、2回戦よりもだんだん良くなってきている気がします。本人も言っていたと思いますが、全体を通して常にものすごく良いということではなかったのかなと。でも、強い選手の(グランドスラム)1週目は、ベストでなくても勝てる、と。2週間の戦い方の中では全然おかしくないと思います。1回戦の最初からトップギアとはいきませんので、そういう意味で、尻上がりに良い感じになってきているのではないでしょうか。

――錦織選手が今大会で勝ち上がれている要因があるとすれば何でしょうか?

 マリー戦に関しては、リオの時とは配球を含めて少し戦い方を変えているように見えました(編注:リオデジャネイロ五輪の準決勝で両者は対戦し、錦織がストレート負け)。リオの時はバック同士のラリーが多かったと思うのですが、今回はマリー選手のフォアの方に意図的に集めている感じがしました。

 ただ、準決勝までで何が良いというよりも、1〜3回戦までは、錦織選手的にものすごく厳しい相手ではないというか、勝てるだろうと思われる相手に勝ってきています。(錦織選手の)ここが抜群に素晴らしいから勝ってきたというよりも、地力の差で勝ってきたのだと思います。ただ、(4回戦で対戦したイボ・)カロビッチ選手については、サーブがすごいので、そのあたりから集中力を高めて、ビッグサーバーに対して理想的な試合ができていました。状態・集中力などすべてが2週目はかなり上がってきたように思います。

――準決勝ではワウリンカ選手との対戦になりました。

 彼はグランドスラムで2回、優勝したことがありますし(編注:2014年全豪オープン、15年の全仏オープン)、片手のバックハンドを持っていて、サービスでもストロークでも押せる選手です。ストローカーですが、オールラウンドに前にも積極的にいきますし、世界ランキング3位ですし、かなりタフな選手です。グランドスラムを複数回、優勝しているというのは、グランドスラムでの戦い方をちゃんと知っていて、実力を発揮できる選手だと思います。

 錦織選手は、一昨年の(全米オープンの)準々決勝ではフルセットの末に勝ちましたが、昨年の全豪オープンは逆にストレートで負けたりしていますから、当然簡単に勝てる選手ではありません。マリー選手も難しいですが、ワウリンカ選手もなかなかタフな選手です。

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