イチローの記録達成後からチームは低迷 戦力かみ合わずマーリンズは崖っぷち
現地4日の試合では9回に勝ち越し二塁打を放ったイチローだが、チームは逆転負けを喫した 【Getty Images】
イチローが大リーグ通算3000安打に達した8月7日(現地時間)の試合後、イチローの記録を祝って、全員で乾杯。まだそのシャンパンの香りが漂うクラブハウスでディー・ゴードンが、決意を口にした。
自身は今年4月、禁止薬物の使用で80試合の出場停止処分を受けたため、ポストシーズンの出場権利がない。それでも、という言葉の裏には、イチローに刺激されたのか、今度はチーム全体で、ポストシーズン出場という目標に向かって頑張りたい、という思いがにじんだ。
主力の離脱でイチロースタメンも…
イチローが記録を達成した7日の時点でマーリンズは、各リーグ、2枠あるワイルドカードスポットの2番目につけていたが、主砲のジャンカルロ・スタントンが走塁中に左内転筋を故障した8月13日の試合に負けると、ワイルドカード争いで3位に転落し、以来、その差が徐々に開きつつある。
目下、今季中に復帰できるかどうかというスタントンに代わって、イチローがスタメン出場しているわけだが、そのイチローは8月14日から9月4日までの打率が2割1分2厘と低迷。チームも8勝13敗ともどかしい戦いを続けている。
くしくもキャンプ初日、ドン・マッティングリー監督は、「イチローが毎日のようにスタメンに名を連ねているという状況は、チームにとっては良くないこと。主力の誰かがケガをしているということだから」と話したが、その想定通りの展開となっている。
これは、必ずしもイチローに対する信頼がない、ということではなく、このチームの柱は、あくまでも外野手のレギュラー、スタントン、クリスチャン・イエリッチ、マルセル・オズナの3人であり、一人でも欠ければ戦う上での構想が狂い、さらにイチローはあくまでも彼らのサポートという前提が崩れるという意味だが、実際のところ、スタントンが健在でも、代わって出場しているイチローがそれなりの結果を残していても、置かれているチーム状況は変わらないかもしれない。
8月、オズナは打率1割6分2厘、9打点と低迷。31日の試合では左手首を痛め、目下、欠場中。クリスチャン・イエリッチも8月は打率2割7分ちょうどで、本来ならスタントンの穴を埋めるべき彼らが、一時期の勢いを欠く。また、7月28日に出場停止処分が解けたゴードンも、打線の起爆剤にと期待されたものの、4日現在、出塁率が3割を切り8月25日から9月3日までの10試合では、打率8分1厘、出塁率1割2分8厘で、出塁機会すら限られている。
もちろん、彼らだけが低迷の原因ではない。最近は、終盤になって試合をひっくり返されるパターンが増えている。