ハリル「ハイレベルな予測が鍵になる」 W杯最終予選 UAE、タイ戦メンバー発表

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W杯アジア最終予選・UAE戦とタイ戦に臨む日本代表メンバー24名を発表したハリルホジッチ監督 【スポーツナビ】

 日本サッカー協会は25日、都内で会見を開き、9月1日に行われるワールドカップ(W杯)アジア最終予選のUAE戦と6日のタイ戦に臨む日本代表のメンバー24名を発表した。

 リオデジャネイロ五輪代表からは大島僚太(川崎フロンターレ)、浅野拓磨(アーセナル/イングランド)が選出された。大島、浅野についてヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「A代表に新しいものをもたらす可能性がかなり高いと思っている」と評価した。また、故障明けの武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)やオランダでプレーする太田宏介(フィテッセ/オランダ)らが昨年以来、久々の代表復帰を果たした。

 メンバー発表終了後、ハリルホジッチ監督は日本のフットボールのために作成したという資料をもとに、フィジカルやトレーニングについてプレゼンテーションを行った。

困難があっても決意は変わらない

登壇者:
ヴァイッド・ハリルホジッチ(サッカー日本代表 監督)
田嶋幸三(日本サッカー協会 会長)

田嶋 皆さんこんにちは。W杯の最終予選に向けたパワーを皆さんから今感じております。いよいよ、今年われわれが一番の目標としていたW杯予選が、9月1日のUAE戦から始まります。雰囲気で日本は大丈夫だろう、(W杯に)行けるのではないかと思っている人がいたら、それは大きな間違いだと思っています。

 いま私たち日本サッカー協会は、ハリルホジッチ監督に全面的に協力し、本当にW杯(出場)を勝ち取るんだという強い気持ちを前面に出してサポートしています。そして日本のサッカー界全体が一緒になって戦いにいくという気持ちを初めから持たなければ、このW杯最終予選を勝てないと思っています。そういう意味でも、9月に行われるUAE戦とタイ戦、そして予選は10月11月、さらに来年と続きます。われわれは全力を注ぎ、日本サッカーの全力を凝縮して戦っていこうと思います。ぜひ応援していただき、サッカー界全体で戦っていきたいと思います。よろしくお願いします。

ハリルホジッチ コンニチハ。今(田嶋)会長が申し上げたように、本当に厳しい戦いが始まる。われわれのグル―プでは5つの国が予選突破を懸けて戦う。UAE、サウジアラビア、イラク、日本、タイ。最後にタイと言ったが、彼らは最後の国内での試合を見る限り強いと思っている。アジアは伸びている。私は「日本は強いから(アジア最終予選は)何とかなるだろう」と言っているのを耳にする。もちろん、彼らの言うとおりだと思うが、前回も難しい状況だった。今回もそれは同じ。最終予選は絶対に取りにいかなければいけない。誰も勝手に勝利をくれるわけではない。国内であろうが、海外であろうが取りにいかなければいけない。われわれには強い決意と勇気を持って 勝ちにいくという野心がある。

 まずは9月1日に埼玉スタジアムで初戦を戦う。6日にタイのホームで試合をするが、われわれは困難を抱えている。(会見を行う)15分前に良くないニュースを受け取った。招集リストに載っていたある選手がけがをしてしまったという情報だ。すでにバックアップメンバーは用意しているが、けがをした選手に関しては現場で様子を見て(出場の)判断をしたいと思う。

 他の問題としては、海外組が先発で出ていないということがある。けがを抱えたままシーズンを始めた選手もいる。そして、移籍したばかりで先発を勝ち取らなければいけない選手もいる。新しいトレーニングをこれから始める選手もだ。ただ、そういった困難がありながらも、われわれの決意は変わらない。

 W杯アジア2次予選のシンガポール戦(編注:ホームで迎えた第1戦で、日本は終始シンガポールを圧倒するもスコアレスドローに終わった)は絶対に忘れられない。最終予選の1試合目はより強い相手が待っている。(日本が所属するグループBには)前回のアジアカップでベスト4まで行ったチームが3カ国(オーストラリア、UAE、イラク)もある。そして、アジアカップでわれわれはUAEに負けている(1−1でPK戦の末敗退)。リベンジよりもさらに強い気持ちと勇気を持って勝利しにいかなければいけない。そして埼玉を満員にして、良い雰囲気を作ってもらって、試合後に勝利を祝いたいと思っている。

<メンバー24名>

GK:
西川周作(浦和レッズ)
東口順昭(ガンバ大阪)
林彰洋(サガン鳥栖)

DF:
酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
酒井高徳(ハンブルガーSV/オランダ)
長友佑都(インテル/イタリア)
太田宏介(フィテッセ/オランダ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
槙野智章(浦和レッズ)
森重真人(FC東京)
昌子源(鹿島アントラーズ)

MF:
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
山口蛍(セレッソ大阪)
柏木陽介(浦和レッズ)
大島僚太(川崎フロンターレ)
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(セビージャ/スペイン)

FW:
本田圭佑(ミラン/イタリア)
小林悠(川崎フロンターレ)
宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)
原口元気(ヘルタ/ドイツ)
岡崎慎司(レスター/イングランド)
武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)
浅野拓磨(アーセナル/イングランド)

若い選手を信頼し使っていく

 GKの3人だが、エイジ(川島永嗣/メス・フランス)とは昨日電話をした。その際に労働許可証がそろっていないという話もあった。ただ、この競争の中に入っていかなければいけないということを認識しなければいけないと伝えた。しかし、(新天地で)先発での出場がなければ、この3人の中にも入ることができないという状況だ。私は西川、東口、林を信頼している。彼らとも常にコンタクトを取っている。新しいGKコーチ(エンベル・ルグシッチ)も呼び、さまざまな準備をしている。

 DFでは酒井宏樹、酒井高徳、長友に加えて、また太田を呼んだ。今回は左利きの選手が必要だと思っている。太田は左利きで、フレンドリーマッチには出ていたが、最近の2試合に出ていない。ディスカッションしてトレーニングしていきたい。彼(太田)が試合に出るかは様子を見たいと思っている。

 槙野に関しては、15分前にけがをしたという連絡があった。日曜に確認し、われわれのメディカルスタッフの分析を見たい。その後の経過を見て決めたいと思っている。もちろん、バックアップも用意しているので問題はない。槙野がダメだったら時には、すぐに呼ぶ選手を準備している。槙野はパフォーマンスが良くなってきていたので残念だが、こういうことはよくあることでもある。

 大島は若い選手だが、かなりのクオリティーがあると思っている。アグレッシブさのところでもっと伸びしろがある。若い選手であり、五輪にも出場した。若い選手を本当に信頼して使っていかなければいけないと思う。私の考え方としては若い選手でも、出る資格があれば問題なく呼ぶ。

 香川、清武に関してはわれわれと常にサッカーをしている2人だが、香川はドイツ杯で2点を決めた。そして清武も新しいクラブ(セビージャ)を見つけた。ここでかなりのトレーニングを積んでいると聞いている。セビージャの監督(ホルヘ・サンパオリ)は私と同じか、それ以上に厳しく要求をしている。清武にとっては良いことだと思う。テクニックも能力もかなりあるので、それ以外にも伸ばすことができる格好のクラブだと思う。(清武は)成功するチャンスがあると確信している。日本人がビッグクラブでプレーするというのは大変うれしいこと。ビッグクラブで先発を取るのは簡単なことではないし、何人かの選手がまだ競争にさらされている現状にある。

 そして、このポジションにもバックアップの選手を用意している。少し年齢が上だが、川崎でプレーする35歳の選手(編注:川崎で35歳のMFは中村憲剛のみ)だ。彼のことは(他の選手に)もし何かあった時には、常に頭に入っている。

浅野に関してはかなり信頼している

 FWにはまだまだ改善の余地があるが、今回は7人のFWを用意している。宇佐美はドイツに移籍したが、今のところはプレー時間が多くはない。2〜3回コンタクトを取ったが、宇佐美は「疲れてはいるけれど諦めない」と言っていた。そういったコメントを聞くのはうれしいことだ。

 岡崎はA代表とクラブで役割が違うが、今回もそれは同じだ。武藤はけがから戻ってきた状態だが、トレーニングはしっかり積んでいる。この前の試合は出ていないが、次の開幕戦には出ると聞いている。ヨーロッパに行き、けが人のチェックをしたが、武藤の状態は安心していいという報告があったので呼んだ。ただ、まだまだこれからも油断は許さない状況なのは確かだ。

 浅野はもっとも難しい状況だ。五輪後に日本に帰ってきて、誰が言ったのか分からないが休めと言われたようだ。私も直接(浅野が所属しているアーセナルの)アーセン・ベンゲル監督に電話して「なぜ日本で15日も休まなければいけないのか?」という話をした。(労働許可証の関係で)期限付き移籍は決まっていた。五輪期間中にすべてが解決されている予定だったが、日本に残らざるを得ない状況だったので、私たちが環境を整えトレーニングはみっちりした。

 浅野がどこにレンタルされるのかは分かっていない。今のところロンドンに行ったという話は聞いたが、コミュニケーションを取るのが難しい状況ではある。1試合目に浅野を使えるのかどうかはまだ分からない。ただ、浅野に関してはかなり信頼している。五輪でも常に高いクオリティーを見せたし、若さで情熱をもたらしてほしいと思っている。競争には彼も含まれている。

 誰をFWで使うかだが、ここで1つ言わなければならないことがある。金崎夢生(鹿島)のことだ。招集リストに入っていたが、日本代表候補の選手があのような態度を取ってはいけない(編注:20日の湘南ベルマーレ戦で、途中交代を命じられ激高した)。それが理由で今回は外した。これは全選手に伝えたいと思うが、このような行動をとると、A代表には入れない。

 バックアップメンバーとしては、GKを1人、中盤が2人、そして2人のFWを用意している。

 UAEは(最終予選に向け)、1カ月半合宿を行っている。8人の選手がACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)を戦ってやってくる。つまり、トータルで2カ月の準備期間がある。そして、今日はカタールで練習試合をすると聞いており、われわれのスタッフもその視察に行っているが、ACLやリーグ戦も視察している。われわれ自身もしっかりと準備して、野心と強い気持ちと勇気をもって戦いたい。1試合目というのはいつも難しいが、私が一番好きな言葉である、ビクトリーを目指して言い訳をせずにやっていきたい。

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