履正社、横浜との横綱対決を制した理由 先発を読み違えても…対応力に自信あり
藤平攻略ばかりを想定していたが…
履正社・山本は1点ビハインドの2回、横浜先発の石川のストレートを狙い打って特大の逆転3ランを放った 【写真は共同】
岡田監督は、こう語る。
「今のチームは、打席に立った選手がその情報を持ち帰って、みんなで分析して共有することを徹底している。それが対応力につながるんです」
さらに、高川学園高(山口)との初戦でも、好左腕の攻略に成功している。それが、先発予想が外れても笑っていられた理由だ。
屈指の好カードに早朝から満員札止め
東の横綱、横浜。東北高(宮城)との初戦は、エース・藤平が7回途中まで13三振で1失点、打線も15安打で7得点を挙げて圧勝している。履正社は、西の横綱だ。やはりプロ注目の左腕・寺島成輝が、高川学園を2安打1失点に抑え、11三振を奪う完投。5対1の完勝だ。両者とも、優勝候補にふさわしい発進。この2回戦屈指の好カードに、甲子園は早朝から満員札止めである。
なにしろ選手自身も、寺島とはU−15日本代表でチームメイトだった横浜・公家響主将が「心がはじける、ウキウキする感じです」と言えば、「150パーセントくらい楽しみにしてきた試合」とは履正社・井町大生捕手。こちらもわくわくしながらの、試合開始だ。
中断の間に「直球を上から叩こう」
だが、2回裏、思わぬ水入りが訪れる。履正社の攻撃、1死二塁、打者・寺島の場面で雷雨による中断だ。43分後に再開すると寺島は三振したが、若林将平がヒットで続き、8番・山本侑度がレフトへ特大の逆転3ラン――。
「中断したこともあり、『石川はどんどん真っすぐで押してくる。それを上から叩こう』とみんなで話した」という山本も若林将も、石川のストレートを狙い打ってのもの。岡田監督の語る情報共有が、一気に流れを引き寄せた。