イチロー、3球三振で7試合ヒットなし ジーター、グリフィーからのメッセージ

丹羽政善

ロッキーズコーチから激励の言葉

1日休養日を挟んで現地時間5日、舞台はデンバーへ移動。7回に代打で出場したイチローは見逃し3球三振に倒れた 【写真は共同】

 試合前、イチローが内野のファウルグラウンドでストレッチをしていると、ロッキーズでコーチを務めるレネ・ラッチマンがイチローに歩み寄りながら、こう言った。

「テッド・ウィリアムス!」

 ラッチマンは、2003〜04年までマリナーズのベンチコーチを務めた。イチローとはその頃からの関係だが、カブスのジョー・マッドン監督しかり、どこへ行っても、つながりのある人がいるというのは、イチローのキャリアの長さゆえか。

「頑張れよ」

 ラッチマンは、イチローの肩を叩きながら、そんな風に言っているように聞こえた。3000安打まで残り2本。意図的に直接的な表現を避けたとも感じたが、果たして真意は――。

代打での登場に左腕を投入

 休養日を挟んでこの日(現地時間5日)、シカゴからデンバーに舞台を移した。

 ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドは街の北側にあり、球場建設のため、地面を掘り起こしていると、恐竜の骨が次々に見つかったことで知られる。有名なところでは、トリケラトプスの頭蓋骨が発掘され、それがロッキーズのマスコットキャラクターの由来ともなった。同球場では前日、ドジャースの前田健太が先発し10勝目をマークしたが、今回、その同じフィールドで、イチローが残り2本に迫っている3000安打を狙うこととなったのである。

 3連戦の初戦――迎えた打席は7回。先頭のアデイニー・エチャバリアが見逃し三振に倒れると、イチローが打席へ。するとロッキーズは、イチローがヤンキース時代にチームメイトだった左腕のブーン・ローガンにスイッチした。あえて、左をぶつけて来たのである。

元同僚の前に見逃し三振

 その時点で、ロッキーズは1点のビハインド。絶対に追加点をやれない、という采配だが、結果的には、彼らにとって狙い通りの結果となった。2ストライクと追い込まれたイチローは、3球目の外角低めのストレートを見逃すと、主審の判定はストライク。あっけなく3球三振に倒れた。

 試合後、「最初の2球は真っすぐ」と話したローガン。「でも僕は、スライダーピッチャーだから、そろそろと考えていたのかな」と振り返った。

 2ストライクでイチローが球種を絞るとは思えないが、スライダー云々の前に、外角低めいっぱいの厳しいコースに決まった。おそらくローガンにとっては、最高の球だったのではないか。イチローはこのところ11打席連続無安打。2998安打を打ってからの足踏みは7試合に伸びた。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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