イチローの登場で大きな声援 野球文化が根付くシカゴで偉業達成か?
シカゴでのカブス戦、7回に代打で登場したイチローはサードライナーに倒れた 【Getty Images】
残念ながら、マーリンズ・パークでは見ない光景だ。いざ試合が始まれば、スタンドには立すいの余地もない。野球文化がマイアミとシカゴではこれほどまでに違う。
前日まで、イチローの3000安打達成は本拠地こそふさわしいと思っていたが、聖地リグレー・フィールドもその器としては、申し分ない。いったい、連日のように4万人を超える観衆がどう反応するのか……。
ちなみに過去、リグレー・フィールドで3000安打が記録されたのは一度だけ。1958年5月13日にスタン・ミュージアル(カージナルス)がマイルストーンに達した。
このときの映像が残っている。
レフトポール際にヒットを放ったミュージアルが二塁に達すると、スタンドの観客はライバルチームの選手に総立ちで拍手を送った。
それから約27年後――85年9月8日、ピート・ローズがタイ・カッブの最多安打記録をリグレー・フィールドで抜く可能性があったが、その試合の最終打席でも、立ち上がってローズを見つめるファンの映像が残されている。
むろん、これだけの記録になれば、おそらくイチローがリーチをかけた打席なら、どの球場でも同じ現象が起きるはず。
ただ、2万人の観客と4万人を超える観客とでは、物理的に拍手の音、声援の大きさが違う。
打つならリグレー・フィールド。作品としては収まりは悪くない。
敵地のファンも「イチロー!」
7回の先頭打者が凡退すると、ベンチから出て来たイチローがゆっくりとネクストバッターズサークルに向かう。このとき、それだけで声援が沸いている。
アデイニー・ヘチャバリアがレフト前ヒットを打った後に打席に向かうと、再び大歓声。スタンドからは「イチロー!」という掛け声もかかる。いつもながらの光景とはいえ、やはりボリュームが違う。
そんな中、2球目のカーブを左に流す。やや体が流れた。体勢を崩しながらも捉えた当たりはサードほぼ正面のライナー。クリス・ブライアントがやや横に飛びながらキャッチすると、すぐさま一塁へ送球。飛び出した一塁走者もアウトとなった。
結局イチローはこの日も足踏み。翌日も代打での起用が予想されているので、記録達成は3日以降に持ち越されることになりそうだ。
この日の打球の速度は約129キロ
ちなみに打球の初速は、球場内に備え付けられたカメラにより、球速、打球の初速などを計測する「STATCAST」ではじき出されるが、今季の場合、打球の初速ではジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)の123.9マイル(約199キロ)が最速となっている。スタントンが芯で捉えたとき、内野手が一歩も動けないのは、そういう数字からも証明されている。
なお、28日に痛烈な当たりを放った試合後、打球の速さではイチローかスタントンか……と問われて、イチローは、苦笑しながら言った。
「そんなことないでしょ。この体でそのスピードが出るんだったら、誰だって出ますよ。どれだけスピード出ているか知らないけど」
バットにボールが当たり、ヒット、アウト、エラーなどの結果が出た回数が150回以上ある全選手と比較した場合、イチローの今季最速105.5マイル(約170キロ)は227選手中209位となる。打球の初速が遅いということは、野手にそれだけ反応する時間を与えるということだが、それでも今季3割以上の打球を残しているのだから、ある意味で特筆すべき傾向かもしれない。
さて、カブスの2日の先発はジェーソン・ハメル。3日はジョン・ラッキー。
3日はデーゲームでもあるので、この日にスタメン出場、という可能性が高い。
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