イチロー足踏みもレーザービーム披露 メジャー1年目の同僚は立ち会えるか?
スタメン出場したイチローは無安打で3000安打へはあと2本のまま 【Getty Images】
29日(現地時間)、カージナルスとの試合前、現役時代にカブスなどで2774安打を放ち、現在はマーリンズ社長特別補佐を務めるアンドレ・ドーソンがそう予想した。
イチローがその時間に2本目のヒットを放ち、大リーグ通算3000本安打に達する――という意味だったが、この日午後9時15分は、マーリンズが5点をリードされて6回裏の攻撃に入ったところで、ちょうどジャンカルロ・スタントンがサードゴロに倒れた。
イチローはといえば、その13分ほど前にショートゴロに倒れてその時点で3打数ノーヒット。これで、午後9時15分どころか、29日中の達成も難しくなった。
まあ、ドーソンの言ったことが、まさか当たるとは思っていないだろうけど――。
音なしも守備では見せ場
仮にイチローがこのカージナルスとのシリーズで大リーグ通算3000安打を記録すれば、彼はイチローの大リーグでの1本目と3000本目のヒットを目撃する唯一の元選手、あるいはコーチとなる。今週前半なら、フィリーズのジョン・マクラーレンコーチにその可能性があったが。
ベルコーチにその話をすると、ゆっくりと様々な選手の顔を思い浮かべながら、「そうかもしれないね」と言った。「私は幸運だ」
ところで、イチローの強肩が全米に知られたのは、01年4月11日、オークランドで行われたアスレチックス戦で、三塁へ向かう一塁走者のテレンス・ロングをライトから刺した“レーザービーム”だが、そのとき、三塁手だったのがベルである。
「今でもあの送球のことは覚えているよ。全くグローブを動かさなかったから」
ただ、ベルには少し不満があるそう。
「送球ばかり注目されて、誰が捕ったとか、どう捕ったとか、誰も覚えていない。イチローの送球が“レーザービーム”なら、僕のは“ザ・キャッチ”なのにね」
そのジョークはスルーしてもいいが、イチローはこの日、強肩健在を見せつけている。
4回、1死三塁でグレグ・ガルシアのフライが、イチローの守るレフトへ。落下地点はホームから264フィート(約80.5メートル)。決して浅いフライではなく、しかも三塁走者は俊足のコルテン・ウォン。彼は当然のようにタッチアップしたが、イチローの送球がショートバウンドで捕手のミットに収まると、タッチには余裕があった。
「イチローは打撃で知られているけど、肩も強い」とウォン。さらに続けた。「完璧なタイミングだった。僕にできることは何もなかった」
記録達成は持ち越し、果たして出番は?
ノーヒットで迎えた8回、今度は1死二塁の好機で打席に立つ。直前のプレーで混乱があり、審判団が協議するなど、やや水をさされたが、再びスタンドのファンがほぼ総立ちとなる中での4打席目は、3球三振だった。客席からは、大きなため息が漏れた。
結局4打数無安打に終わると、次戦以降に3000安打達成は持ち越されている。
明日30日のカージナルスの先発は左腕ハイメ・ガルシア。仮にイチローがスタメン出場するとしたら、ジャンカルロ・スタントンが休むケースだが、ガルシアに対しては6打数4安打と相性が良いため、その可能性は低い。ただ、31日の日曜日にスタメン出場する可能性はあるようだ。
ホームスタンドはあと2試合。それまでに決められるか。仮に、30日に1本打ってリーチをかければ、31日のシリーズ最終戦は、これまでにないぐらい球場は盛り上がるに違いない。
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