トヨタ自動車を都市対抗初Vに導いた右腕 佐竹功年が晴らした11年間の悔しい思い

楊順行

4勝、防御率0.30で橋戸賞を獲得

完封勝利で初優勝を決め、マウンドで飛び上がって喜ぶトヨタ自動車・佐竹。主将として、エースとしてチームをけん引した 【写真は共同】

「力はあるのに、都市対抗では勝てないと言われ、本当に悔しい思いをしてきました……先輩たちの思いも背負い、絶対に負けない気持ちで投げていました。長かった……」

 主将として、エースとして、社会人11年目の熱い男・佐竹功年(トヨタ自動車/豊田市)は、優勝のお立ち台で目を潤ませた。今大会は5試合中4試合に登板し、完封2を含む3完投で4勝、防御率はなんと0.30だ。創部100年目の初優勝を目指す日立製作所(日立市)との決勝では、精密な制球力で要所を抑え8安打11三振で完封。文句なしの橋戸賞(MVP)に輝いた。

過去3年間の都市対抗で9勝無敗

 もう、“ミスター社会人”と言っていい。

 2011年には右ヒジと肩のクリーニング手術を受けたが、近年の成績は出色だ。14年、西濃運輸(大垣市)の補強選手として3試合に登板し、2完投の3勝で優勝に貢献した。昨年も3試合19回を投げて失点わずか2で、チームもベスト8。今年の4勝を合わせると、3年間で9勝無敗という存在感は圧倒的だ。しかもその間の防御率は0.64で、完投しても与えるのは1点以下だから、神業に近い。一度、プロチームとの真剣勝負を見てみたいというのは、勝手な個人的希望だろうか。

 今大会の歩みは盤石だった。初戦、佐竹が史上7人目の毎回奪三振(13)で七十七銀行(仙台市)を4安打完封すると、2回戦ではJR西日本(広島市)に快勝。NTT東日本(東京都)との準々決勝は、佐竹が延長10回を1失点、バッテリーを組む細山田武史のサヨナラ打で制し、準決勝は佐竹以外の4投手が西濃運輸を零封した。そして、チームとしては09年、Honda(狭山市)と対戦して以来の決勝である。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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