「ＧｏＦｏｕｎｄＭｅ」とは、病気になって治療費が足りない、学費がなくて大学に行けない、などのケースで、「私を援助してもらえませんか」と寄付を募るサイト。原理は冒頭で紹介したように近所から寄付を集める制度だが、「そこを利用してイチローを追いかける費用を捻出しては？」、とアドバイスされたところ予想以上の反響があった。

　恐る恐る登録し、自分のツイッターを通じて訴えると、３０００ドル（約３２万円）という目標額はとうに超え、現地２２日午後１１時（日本時間２３日午後１２時）の時点で９１６９ドル（約９７万円）が集まっている。

「本当に感謝の言葉しかない」とエイミーさん。「しかも、ほとんどは日本の人なのよ。中にはなんと１０００ドルも寄付をしてくれた人がいるの。みんながいなかったら、私は今、ここにいられなかったかもしれない」。

　しかしそれは、エイミーさんがこれまで熱心にイチローを応援し続け、その思いに共感した人、自分の代わりに現地で応援してほしいという人が多いからだろう。彼女を含めたいろんな人の思いが、一つになった結果とも言える。

　さてこの日（現地時間２２日）のメッツ戦、そんなエイミーさんの席の近くにイチローのモノマネで知られるニッチロー’が座り、８回にイチローが代打で打席に入ると、一緒になって声援を送った。しかしイチローは２ストライクと追い込まれてからの３球目、内角低めに沈むスライダーを振って空振り三振に終った。残念ながら、イチメーターも「２９９６」のまま動かなかった。

　記録に一気に近づくとしたら、やはりスタメン出場が欲しいところだが、現時点では先が見えていない。

「特に（イチローを先発で起用する）プランはない」とドン・マッティングリー監督。

「今日とか明日とか、４日後かもしれないけど、とにかく外野手のレギュラー３人の健康状態、バットが振れているかどうかによる。現時点では彼らは悪くない」

　少なくとも次戦２３日のスタメン出場は考えられない。現時点で後半に入って休んでいないのはクリスチャン・イエリッチだが、２３日のメッツ先発のジェーコブ・デグロームとの対戦成績は２２打数７安打。マッティングリー監督は相性を参考にするタイプなので、それを生かそうとするだろう。そもそもイエリッチは、ここ４試合で３本塁打を放つなど好調だ。

　今日２２日の試合に関しては、イチローの起用以前に試合を落としたこと自体が痛い。ナ・リーグ東地区首位のナショナルズも敗れており、３．５ゲーム差に詰め寄るチャンスだったが、逆に地区３位のメッツに０．５ゲームに迫られた。

　上を狙うなら、２３日、２４日のメッツ戦は、落とせなくなった。しっかり連勝して蹴落としてから、ナショナルズに迫りたい。チームの狙いもイチローの３０００安打よりも、今はそこにあると言えよう。

　ところで、冒頭のイギリスの話だが、あの後、待てど暮らせど、発表会の招待の連絡はなかった。やがて、その家族は引っ越していった。