ダルビッシュ、右肩違和感から復活の裏側 現状に満足せず常に前進する柔軟性

丹羽政善

右肩違和感からの復帰戦、黒星を喫したが5回途中2安打2失点のピッチングだった 【Getty Images】

 16日(現地時間)、リグレー・フィールド。

 カブス戦の初回、先頭打者を歩かせて無死一塁。ここでダルビッシュ有(レンジャーズ)は昨季の新人王で、今季2年連続オールスターゲームに選ばれたクリス・ブライアントを迎えたが、見逃し三振に仕留めた。

 最後、98マイル(約158キロ)の真っすぐが外角低めいっぱいに決まったが、ブライアントはバットを振ろうにも、振れなかったのではないか。その前、外角低めいっぱいからボールになるスライダーを2球続けて追いかけて空振りしており、彼になまじ学習能力があるばかりに見送ったが、今度は曲がらず捕手のミットに収まった。

 ダルビッシュにしてみれば、スライダーで2つ空振りを取った時点でフィニッシュを描けたのではないか。本人いわく、「まだ、感覚が合っていない」とのことだが、ブランクを感じさせなかった。

TJ手術後はよくあるケースだが

 さて今回、故障者リストに入ったのは、6月8日のアストロズ戦で、首から肩にかけて張りを感じたことによるものだ。

 ダルビッシュはあの日の試合後、「トミー・ジョン(手術=側副靱帯再建術)の後だから、いろんなところが痛くなったりするとは言われている。これが普通だよと言われました」と楽観的な言葉を残し、さらにその翌日、ダルビッシュはチームメートとキャッチボールをしており、そのときも「大丈夫。大丈夫だから投げている」と語り、10日には遠征先のシアトルでブルペンにも入ったが、実のところ、遅くともあのブルペンに入る前の段階で考えるところがあったよう。

 投げられないというほどではない。実際、ブルペンでは21球を投げている。ただ、右肩の違和感をもたらした正体が明らかではなく、大事を取るという選択肢もなくはなかった。その翌日、マリナーズの岩隈久志と昼食をともにしたときに状態を明かすと、「無理すべきではないのでは」と助言されたそうだ。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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