大学代表の主将、阪神・坂本が再び1軍へ 猛虎の要へ、3カ月の2軍生活を糧に

岡本育子

笑顔でプレーしたフレッシュ球宴

前半戦は2軍暮らしが続いた坂本。後半戦は1軍でどんな活躍を見せられるか? 【写真は共同】

 14日に倉敷マスカットスタジアムで開催されたフレッシュオールスター。前評判通り、東北楽天のルーキー・オコエ瑠偉選手が攻守で活躍! 昨年は中止だったため今回が初出場の巨人2年目・岡本和真選手が3ランを含む2安打でMVP獲得と、イースタン選抜が6−1と圧勝して幕を閉じた。

 ウエスタン選抜は1点のみ。それをたたき出したのは阪神・板山祐太郎選手の、ライトポールを直撃するホームランだった。板山選手はオコエ選手とともに優秀選手に選ばれている。その阪神からは、守屋功輝投手、ルーキーの青柳晃洋投手、坂本誠志郎選手、そして板山選手の同級生4人が出場した。

 その中で、スタメンマスクをかぶりソフトバンク・高橋純平投手をはじめ5投手をリードした坂本選手は「緊張しましたね、意外と。何だかいつもと動きが違いました」と振り返る。唯一の打席は3回、いい当たりの打球を放つもセカンドを守る埼玉西武・呉念庭選手のファインプレーに阻まれた。
 
「あのへんが僕ですわ。あれが抜けていれば、もっと違う選手になれました(笑)」。またサードのベースコーチも務め「藤本(敦士)コーチ、平野(恵一)コーチの気持ちがわかりました! 新鮮だった」と笑う。

大学のエースは最大級の賛辞

 試合前に「同級生、上原と対戦したいですねえ! 大学の時は遠慮してあげていたから、今回は遠慮せずいきます」と挑発?していた坂本選手。名前の出た明治大の同期、北海道日本ハム・上原健太投手を直撃すると「遠慮してあげていた? そう言いながらバット折っていたけど(笑)」。残念ながら対戦がなく、証明は次回に持ち越しになった。

 上原投手に聞いてみた。坂本選手はどんなキャッチャーか?
 
「ピッチャーの特徴をつかむのが早いし、その日の調子も全部踏まえてリードしてくれる。ピッチャーとの接し方も含め、いろいろなキャッチャーと比べて引けを取らないですね。それにプロ向きの性格だと思います。うまく盛り上げてくれる。チーム一の苦労人、一番信頼されていました」。キャプテンとしても「坂本がいるから、このチームがあると思えた」と最高級の賛辞である。

 大学時代に明治大だけでなく、侍ジャパン大学代表の主将も務めた坂本選手本人は「単にそんな立場になっていただけです。僕が何かをしたというより、周りのみんなが頑張ってくれて、僕は代表していただけ」と謙遜するが、フレッシュ球宴でも「声を出して引っ張って、阪神の坂本ってメッチャ元気やん! と思ってもらえたら」と予告した通りベンチ前での円陣で、またグラウンドでゲキを飛ばす大きな声が聞こえた。

 盗塁は2回試みられて、1回刺した。「思った通りにはいっていないけど、楽しかった! 楽しいが一番」というフレッシュ球宴の感想。来年は1軍のオールスターで? 「そうなったらいいですが、あれは選ばれて出るもの。選んでもらえるよう頑張ります」。その前に1軍へ行かないと。「そうですね! そこです。真剣勝負がかかってきますから」

2週間足らずの1軍登録

 坂本選手は昨秋のドラフト2位指名で阪神に入団。1位は同じ明治大学の高山俊選手である。2月にはルーキー6人の中で唯一、沖縄・宜野座の1軍キャンプに参加してオープン戦にも帯同。開幕1軍メンバーには選ばれなかったものの、5月5日に1軍昇格を果たす。しかし、出場機会のないまま5月18日に抹消された。ちょうど育成から支配下に復帰した原口文仁選手が、飛ぶ鳥を落とす勢いだった時期と重なる。

「悔しかったですね。ベンチにいることが目標じゃないですからね。出られずに戻ったことが悔しかった」。そして「試合に出て自分に何ができるか。次は『坂本を呼んで使ってやろう』と思ってもらえるように、成績も状態も保っていこうと決めました」

 大学時代との違いを尋ねると「いろいろあります。言葉にするのは難しいんですが、ピッチャーもバッターも、他にも違いの大きい小さいではなく、多く感じていますね。それに慣れていかないといけないけど、慣れてしまうのが怖い部分もあって。慣れすぎないようにという思いも」と坂本選手は語る。

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著者プロフィール

兵庫県加古川市出身。プロ野球ナイター中継や、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって30年以上。ウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それから阪神の2軍を取材するようになり、はや20年を超える。

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