12球団が狙うドラ1候補を大胆予想 創価大・田中、日大・京田らスカウト注目

週刊ベースボールONLINE

年明けの段階では、ドラフト史上初めて「全12球団が1位競合!!」とまで言われていた創価大の156キロ右腕・田中正義。春はケガのため2試合の登板に終わった 【写真=BBM】

 ドラフト会議における1位指名は「同時入札」で、2位以降はシーズン順位が反映される「ウエーバー方式」(下位球団から指名)で行われる。つまり、12球団横一線でスタートする「ドライチ」から、各チームの補強戦略が見えてくるのだ。全日本大学選手権を終え、夏の高校野球地方大会を前に、各球団ではスカウト会議が行われているが、2016年の目玉選手、1位指名候補を探っていきたい。

田中、秋に復調すれば競合間違いなし

過去に実力は証明済み。秋に“元気に”投げている姿をその目で見られれば、1位入札で複数球団が競合することは間違いない 【写真は共同】

 年明けの段階では、ドラフト史上初めて「全12球団が1位競合!!」とまで言われていた。創価大の156キロ右腕・田中正義(4年・創価高)である。2016年ドラフト戦線における「超目玉」であることには変わりはないが、今春はまさかのアクシデントに見舞われた。2月に疲労蓄積による右肩違和感を訴え、当初、招集が予定されていた侍ジャパンの強化試合(対台湾)も見送られた。4月の開幕に照準を合わせ、杏林大1回戦で完投したのも束の間、2カード目(対共栄大1回戦)では2回降板。実は右肩違和感が完治しておらず、まさかの戦線離脱となった。わずか2試合、11イニングの登板に終わり、目標としていた「大学日本一」どころか、リーグ優勝も逃してしまった(3位)。主将という立場上、ベンチで鼓舞するリーダーの役割は難しかったはずだ。

 侍ジャパンのエースとして期待されていた日米大学選手権(7月12日開幕、新潟、神宮、静岡)の選考からも外れ、現在は9月の秋のリーグ戦開幕へ向け、じっくりと調整を進めている。幸い患部は軽傷であり、完全復活へ気持ちも切り替わっている。スカウトサイドは今後、「再確認」の作業に追われる形となるわけだが、すでに実力は分かっている。田中が“元気に”投げている姿をその目で見られれば、1位入札で複数球団が競合することは間違いないだろう。

吉川、京田の遊撃手コンビに上位の可能性

走攻守3拍子そろった遊撃手として評価が高い中京学院大・吉川。ことしの全日本大学野球選手権でチームを初出場初優勝に導いた 【写真=BBM】

「アマチュアナンバーワン遊撃手」の名をほしいままにする日大・京田。各球団の補強ポイントによってはドラフト上位指名も可能性がある 【写真=BBM】

 超目玉・田中が戦線から離れていた期間、1位候補へと浮上したのが中京学院大・吉川尚輝(4年・中京高)だ。大学選手権では初出場初優勝の原動力となり、学生野球の聖地・神宮の杜を舞った。攻守走3拍子そろった遊撃手で、スピードを前面に出したプレースタイルにはスター性を感じる。この吉川が「ライバル」と公言する日大・京田陽太(4年・青森山田高)は、年明けの段階から「アマチュアナンバーワン遊撃手」の名をほしいままにしてきた。野球に真摯に取り組む姿勢も評価されている。各球団とも例年、投手優先のドラフトだが、補強ポイントによって、この2人が最上位で指名される可能性は十分にある。

大学日本代表の有望投手たち

侍ジャパン大学代表でキャプテンを務めるのは明大の主将・柳裕也。冷静な投球が光る 【写真=BBM】

最速152キロのストレートを武器に打者へ向かっていくスタイルは即戦力の声が多い桜美林大・佐々木 【写真=BBM】

2年時から3年連続の代表入りの神奈川大・濱口遥大は実戦派のサウスポー 【写真=BBM】

 さて、侍ジャパン大学代表でキャプテンを務めるのは明大の主将・柳裕也(4年・横浜高)である。投手で日の丸チームをけん引するのは超異例だが、すべてを託したくなるだけの“男気”がある。投球スタイルも冷静かつ勝負強い。侍ジャパン組では桜美林大・佐々木千隼(4年・日野高)の評価が急上昇。最速152キロを誇り、打者へ向かっていくスタイルは即戦力の声が多い。また、2年時から3年連続の代表入りの神奈川大・濱口遥大(4年・三養基高)は実戦派のサウスポーであり、左腕を補強したい球団にとってはうってつけの存在だ。

春に最速153キロで評価上げた島

横浜高の先輩である松坂を尊敬する152キロ右腕・藤平 【写真=BBM】

春の近畿大会を制した高校生ナンバーワン左腕の呼び声高い履正社高・寺島 【写真=BBM】

春に153キロを計測して、一躍評価を挙げた東海大市原望洋高・島 【写真=BBM】

 高校生では名門・横浜高の152キロ右腕・藤平尚真が夏本番へ、ピークを合わせてきている。同校の先輩・松坂大輔(現・福岡ソフトバンク)を尊敬し、藤平は松坂が甲子園で春夏連覇を遂げた1998年生まれというのも、何かの縁を感じる。西では履正社高の左腕・寺島成輝が春の近畿大会を制して調子を上げている。また、東海大市原望洋高・島孝明は今春、153キロをマークしてドラフト上位候補に“仲間入り”。夏の千葉大会にも大挙、スカウトが視察するはずだ。

社会人3年目の山岡が1位候補

瀬戸内高時代から評価の高かった東京ガス・山岡。ドラフト解禁年に挑む都市対抗で結果を残せるか!? 【写真=BBM】

 社会人では高卒3年目の東京ガス・山岡泰輔が、1位候補に挙がっている。広島・瀬戸内高時代は甲子園初戦敗退も、ダルビッシュ有(レンジャーズ)がキレのある変化球をツイッター上で絶賛したのは、あまりにも有名な話。7月15日に開幕する、集大成となる都市対抗への思いは強い。単独指名を狙うのか、それとも競合覚悟での1位入札に踏み切るのか──。各球団の戦略からも目が離せない。
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