DeNA防御率トップの背景 勝ち抜くにはここが踏ん張りどころ

日比野恭三

ここまで5勝を挙げ開幕からローテを守る今永 【(C)YDB】

 横浜DeNAの交流戦は、まさかの6連敗で幕を閉じた。
 
 埼玉西武との開幕カードに1勝2敗と負け越した後、3連勝(対千葉ロッテ)、3連敗(対福岡ソフトバンク)、3連勝(対オリックス)。この調子でいけば五分か、貯金をつくることも十分にありえると思えた。

 ところが最後の2カード(対北海道日本ハム、東北楽天)で1勝も稼げず、結局、DeNAの交流戦は7勝11敗の12チーム中8位タイに終わる。わずか3勝で大ブレーキとなった昨季を思えば御の字の成績ではあるが、終盤の失速に後味の悪さが残ったことは否めない。
 
 それでも、チーム防御率は3.17(6月20日終了時点)で依然としてリーグトップ。今季最長の6連敗を喫しながらも2位・巨人まで2ゲーム差の位置で踏みとどまれているのは、やはり春先から踏ん張り続けてきた投手陣の貢献度が大きい。

先発陣の成長を促すラミレス采配

5月は月間MVPを獲得するなどローテに定着した石田 【(C)YDB】

 好成績の要因として最初に挙げられるのは、層の厚さだ。先発陣では5勝をマークしている今永昇太、石田健大、山口俊に、4勝の井納翔一とモスコーソ、3勝の久保康友が続く。右と左、若手・中堅・ベテランとバランスのよい構成となっており、他球団もうらやむ充実ぶりだ。
 
 70試合を戦って、先発が5回もたずに降板したのは2試合だけ。ベテランの久保康が「今年は我慢した使い方をしてくれているので、ピッチャーはいい経験ができている」と語るように、6回、7回までは先発に任せたいとの信念をのぞかせるラミレス監督の采配が、先発陣に責任感を植えつけ、個々の成長を促しているのだろう。

 象徴的なのが、2年目の石田とドラフト1位ルーキー今永の若手左腕コンビだ。5月の月間MVP(セ・リーグ投手部門)を受賞した石田は、今永についてこんな話をしていたことがある。
 
「チェンジアップの投げ方を聞かれたりすることもあるし、お互いに聞き合える関係ですね。自分の感覚を言葉にするのって難しいんですよ。でも、人に言うと自分の頭にも残って、あらためて気づかされることもあったりするんです」

 年齢もタイプも近い同じ左腕としては、今季から背番号47を背負う20歳の砂田毅樹もいる。互いに刺激を与え合う若手の存在が、先発陣に厚みをもたらしている。

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著者プロフィール

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。

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