小橋の目の前で超絶チョップ合戦 小橋vs.健介が東京ドームの激闘秘話を暴露

高木裕美

3回目となる“鉄人”小橋建太プロデュース大会が開催された 【横田修平】

“鉄人”小橋建太がプロデュースする「Fortune Dream 3」が14日、東京・後楽園ホールで開催され、1300人を動員した。

「Fortune Dream」はこれまで14年6月8日、12月10日に開催され、今回は1年半ぶりの大会。小橋の「熱い試合」というコンセプトに選手たちが応え、全試合を解説として見届けた小橋も「感動した」と大興奮。次回大会については「1回1回完全燃焼でやってきたので、また終わってから考えたい」と明言は避けたものの、今後も熱い戦いを届けていきたいという意欲を見せた。

合計200発を越えるチョップ合戦

14年末の年越しプロレスで「Wユージ」を結成した岡林と火野がチョップ合戦の火をつける 【横田修平】

 メインイベントでは、関本大介(大日本プロレス)、火野裕士(フリー)組vs.岡林裕二(大日本プロレス)、潮?豪(プロレスリング・ノア)組が合計200発以上に及ぶ超絶チョップ合戦を展開。30分では決着がつかず、急遽5分間の延長戦に突入した。

 関本は今年の全日本プロレス「チャンピオン・カーニバル」優勝、火野は前WRESTLE-1チャンピオンシップ王者、岡林は現BJWストロングヘビー級王者、潮崎は現GHCヘビー級王者という豪華なチャンピオン対決。前日付けで正式にノア所属となった潮崎は、ノアTシャツにGHCのベルトを巻いて入場した。

 14年末の年越しプロレスで「Wユージ」を結成した岡林と火野が火をつける形で、逆水平チョップ合戦がヒートアップ。Wユージが解説席の前へ移動し、小橋に向かって一礼してから逆水平チョップを打ち合えば、潮崎と関本も南側客席でチョップの応酬。実に4人で200発以上に及ぶ打ち合いを繰り広げた。残り1分で潮崎が火野にドロップキックを放つと、関本が潮崎にラリアット。岡林が関本にブレーンバスター。火野と岡林がラリアット相打ちとなったところで時間切れのゴング。

 だが、火野が「時間切れと言ったら延長やろ」とマイクアピールし、小橋が5分延長を許可。関本と火野は潮崎&岡林にダブルラリアットを2連射すると、岡林に眉山を敢行。だが、疲れが見える関本に潮崎が豪腕ラリアット、岡林もラリアットでたたみかけ、3カウントをもぎ取った。

「小橋さんに凄いものを見てもらおうと思った」とチョップ合戦に懸ける思いを語った岡林に、潮崎も「ノアでは味わえない刺激があった」と笑顔。この戦いを間近で見守った小橋は「あれだけのものを見せられたらウズウズする。オレがリングに上がるというわけじゃないけど、すごい燃えてきた」と、心の奥底の闘志が燃えたぎるような感覚に、戦った4選手を絶賛した。

師匠・健介の前で勝彦が勝利

中嶋は師匠・健介の目の前で勝利を奪う 【横田修平】

 セミファイナルでは、石川修司(フリー)&中嶋勝彦(プロレスリング・ノア)組vs.佐藤耕平(ZERO1)&マイバッハ谷口(プロレスリング・ノア)組が対戦。直前のトークバトルで対決した小橋の元付き人の谷口と、健介のまな弟子の中嶋が“代理戦争”を繰り広げた。

 大日本プロレスでBJWタッグ王座を巻くツインタワーズの石川と佐藤がダイナミックな戦いを見せると、谷口と中嶋も場外でエルボー合戦。中嶋が鋭いミドルキックを連発すれば、谷口も鉄柵の外へ落とす。10分過ぎ、中嶋が谷口にミドルキック、フロントハイキック、ローリングソバット。谷口がパワースラム、串刺しラリアット2連弾、ブレーンバスター。中嶋が顔面蹴り、ドロップキックを放つと、谷口もカウンターのラリアット、チョークスラムからマイバッハプレスを狙うが、中嶋が高角度回転エビ固めに切り返して逆転勝利を奪った。

「これだけのメンバーの中で3カウントを取れて嬉しい」と勝利に顔をほころばせた中嶋は、本日会場に来ている師匠・健介を意識し、「勝利という形で自分の雄姿を届けられた」と胸を張った。

秋山が“飛龍二世”LEONAにダメだし

秋山準は“飛龍二世”LEONAに手厳しい先例 【横田修平】

 第1試合には小橋の盟友であった秋山準(全日本プロレス)が初登場し、“飛龍二世”LEONA(ドラディション)と一騎打ち。LEONAはドロップキックで奇襲を仕掛けると、さらに床の上でブレーンバスター。しかし、秋山が鋭いエルボー一発でグラつかせると、鉄柵にぶつけてお返しの床上ブレーンバスター。場内からは「秋山」コールが起こるが、秋山はわざと「LEONA」コールに変えさせ、ボディースラム2連発から拷問式逆エビ固め。LEONAはなおも首固め、逆さ押さえ込みから、父・藤波辰爾の代名詞であるドラゴンスクリューからの足4の字固めへ。しかし、あまりにも不完全な形に、場内からは失笑が沸き、秋山も「絞れ!」と効いてないとばかりにアピール。LEONAはダブルアームスープレックスで最後の意地を見せるも、秋山がランニングニー、ヒザ蹴り、リストクラッチ式エクスプロイダーからの逆エビ固めで勝利した。

 試合中に右手小指を脱臼するアクシデントに見舞われながらも、平然と試合をこなしていた秋山は、「もっとオレにダメージを与えないと。打ち負けちゃダメ」と、まだまだ経験不足のLEONAにダメ出し。「ドラゴン殺法を出すなら的確にやらないと」と、偉大なる父親に追いつくためにも、もっと練習し、体を鍛え、試合数をこなせとアドバイスした。

小橋vs.健介は負けん気&パパトークで盛り上がり

恒例のトークバトルでは佐々木健介と05年7.18東京ドーム大会での歴史に残るベストバウトを振り返ったりした 【横田修平】

 恒例のトークバトルでは、小橋が佐々木健介(健介オフィス)と対決。これまで、長州力、天龍源一郎と大先輩を迎えてきたが、今回は同世代のライバルと、05年7.18東京ドーム大会での歴史に残るベストバウトを振り返った。

 健介が後楽園のリングに上がるのは、中嶋との試合後に電撃引退を表明した14年2.11ダイヤモンドリング以来。小橋もその日、バルコニーから試合を観戦しており、試合前には一緒に話もしていたことから、リング上の引退宣言を聞いて、バルコニーから落ちそうになったほどビックリしたという。

 互いに引退しているにもかかわらず、まだ「佐々木選手」「小橋選手」と呼んでいることを突っ込まれると、観客に呼び名を公募。客席からは「ケンちゃん」という声が多数挙がったため、その後は戸惑いながらも互いを「ケンちゃん」と呼び合うことに。

 200発以上に及ぶチョップ合戦となった11年前の東京ドーム大会の一騎打ちについて、健介が試合後、控室でスクワットとプッシュアップを始めたという話を聞き、小橋も翌日、道場で練習したという「リング外でも負けず嫌い」エピソードを披露。健介は、試合後に風呂に入った瞬間、胸の傷に沁みて飛び上がったそうで、「リング上ではガマンできるけど、私生活はガマンできない」とその衝撃を語ると、小橋も「今まで自分はこんなひどいことをほかの人にやってきたんだと思った」と反省。

 チョップに対する思いを、健介が「チョップは単純な技。使える選手が増えるのは嬉しい」と語ると、小橋も「簡単な技だからこそ、そこにどこまで魂を込められるかが難しい」と話した。互いのチョップの違いについて研究したという健介は、「小橋のチョップは面で来るんで、重いし痛い。自分のチョップは相手の中にどこまで響くか」と分析結果を公表した。

 また、健介が「気が済むまでトレーニングをしていた」という話で、最高記録が7時間と聞いた小橋は「僕は8時間」と対抗。負けん気を見せ付けた。

 いまや1児の父となった小橋に、男の子2人の父である健介が「女の子でしょ。いいな。かわいいでしょ」と聞くと、小橋は「僕に似てすごくかわいい」とメロメロ。「オムツもお風呂もミルクも、育児は全部やった」という育メンの健介に対し、小橋も子供のためにエアコンの設定温度を28度にしながら、汗をダラダラ流して頑張っていると語った。

 トークバトル終了時、「東京ドームで生まれた友情に感謝」という小橋に、健介も「小橋というライバルに出会えて嬉しかった。引退してリングを降りてもライバル」と呼応。固い握手をかわした。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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