「変わらない和田、変わった松坂」 斉藤和巳氏が鷹の昭和55年組を語る

スポーツナビ

5年ぶりに日本復帰を果たした和田。ここまで6勝1敗とチームを支えている 【写真は共同】

 ここまで32勝13敗4分け、2位の千葉ロッテには6ゲーム差をつけパ・リーグの首位を独走する福岡ソフトバンク。その中でもMLBから5年ぶりに復帰した和田毅がチームトップタイの6勝1敗をマークし、昨年9年ぶりに日本球界復帰を果たした松坂大輔は8月の右肩手術を経て、現在も2軍調整が続いている。

 和田とともに00年代のホークス投手陣を支え、西武のエースだった松坂とは何度も投げ合った斉藤和巳氏はこの同学年の2人をどのように見ているのか。

常に先を見据えていた和田

 ここまで9試合に登板し、6勝1敗、防御率3.12の成績を残す和田について「これまでにもメジャーに行って帰ってきた選手は何かしら変化があるのですが、和田は行く前と帰ってきた後で投げている姿を見ても変化を感じられません」と、これまでの帰国組にないポイントを指摘する。投球スタイルとしては140キロ前後のストレートに加え、スライダー、カーブ、チェンジアップを駆使。時折、米国で習得したツーシーム、カットボールを投じるが、ほぼ渡米前のスタイルと大きな差はない。

 31歳からの5年間で、日本から米国、2012年の左肘のトミー・ジョン手術、その後もメジャーとマイナーの往復、米国から日本という環境の変化を経ている。なぜ、和田は変わらずに日本復帰後も好投を続けられるのか? 

「和田は常に先のことを見据えてやっている選手です。何が投手にとって大事なのか、長く現役を続けるために何が必要なのかを、高い質で考えています。トミー・ジョン手術も受けていますが、彼はそういったことも自分のプラスにすることしか考えていません。その性格どおりに考えて、練習を積み重ねてきた結果が現在の好成績だと思います」

強靭な下半身が生む独特のフォーム

 球の出どころが見にくいフォームから繰り出される“打ちにくい”投球を武器に大学時代には東京六大学の奪三振記録を塗り替え、プロ入りから9年間で107勝を挙げた和田。そもそもこのフォームをどのようにして手に入れたのか? この要因として下半身の強さを斉藤氏は挙げる。

「彼のフォームは下半身主導になっています。練習中も暇さえあれば下半身の動きをシャドーピッチングで確認しています。これが打ちにくいフォームを生み、今も変わらない最大の要因でしょう。あとランニング量も多いですね。本人は『減った』と言っていますが、工藤(公康)監督に聞いたところ、『チームで一番走っている』と言っていました」

 しっかりと練習を行いここまで順調に来ている和田だが、今後、不安なポイントはあるのか? これについて1点、斉藤氏は米国時代に1年間先発ローテーションで投げ切っていないことを懸念する。

「ここから先の乗り切り方は(頭では)わかっていると思いますが、ここ数年実現できていません。36歳という年齢を考えてもこれからの梅雨、夏場を迎えると今までとは違う課題が見えてきます。頭では対処方法をわかっていても、体がついていかないこともあるかもしれません」

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント