【全日本プロレス】宮原が関本にリベンジし三冠王座防衛 長期欠場中の諏訪魔が7月後楽園で復帰

高木裕美

宮原がシャットダウン式ジャーマンで勝利

三冠王者・宮原がCC覇者・関本を破りV2を達成 【横田修平】

 全日本プロレス「2016 スーパーパワーシリーズ」最終戦となる25日の東京・後楽園ホール大会では、2大タイトルマッチなどが開催され、満員となる1396人を動員した。

 メインイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、王者・宮原健斗が、今年の「チャンピオン・カーニバル」覇者である大日本プロレスの関本大介の挑戦を退け、辛くもV2に成功。次期挑戦者には、今年のCC公式戦で30分時間切れに終わっていた真霜拳號が「決着をつけよう」と名乗りを上げた。

 関本は4.24大阪で行われたCC公式戦で宮原に勝利。優勝戦でもゼウスを破り、史上2人目となる他団体所属選手の優勝を成し遂げた。経験・実績共に上回る関本に対し、宮原は鉄柵を使ったラフファイトを仕掛けるなど、なりふり構わぬ攻撃。関本もトペスイシーダ、場外マット上へのDDT、ミサイルキックなど、高さを生かした攻撃を繰り出していく。

 15分を過ぎても、互いにジャーマンスープレックスで投げ合うなど闘志は衰えず。関本のラリアット、延髄斬りを食らいながらも、強烈なヒザ蹴りで流れを変えた宮原が、シャットダウン式ジャーマンスープレックスで関本の体をマットに突き刺し、3カウントを奪取した。

次期挑戦者に真霜が名乗り

次期挑戦者に真霜が名乗り 【横田修平】

 試合後、CC開幕戦となる4.9後楽園大会で引き分けた真霜が「言わなくても分かるだろ。決着つけようぜ」とアピールすると、宮原も「この三冠ベルトを賭けて勝負だ」と呼応。両者のタイトルマッチが決定的となった。

「彼とはジャーマン対決とか小さい次元ではなく、プロレスラーとしての体力、技術、華やかさ。トータルで勝負した。まだ1勝1敗」と関本戦を振り返った宮原は、真霜とのV3戦に向けても「僕はまだまだ進化してるんで」と、前回の時間切れ引き分けの先にある、勝利という進化を確信。7.14後楽園での復帰を表明した前三冠王者・諏訪魔についても「どっちが全日本を盛り上げるか、直接対決じゃなくて、いろんなところで勝負できる。そうすれば全日本プロレスも幅が広がっていく」と、いずれ交わるその時まで、互いに全日本マットを活性化させ、競い合いたいと呼びかけた。

正攻法で挑んだ竹田は王者・青木に撃沈

正攻法の竹田を破った青木は、佐藤の挑戦も受諾 【横田修平】

 世界ジュニアヘビー級王者・青木篤志は、竹田誠志の挑戦を退け3度目の防衛に成功。次期挑戦者には、同じEvolutionの佐藤光留が名乗りを上げた。

 デスマッチファイターとして大日本などで活躍する竹田は、髪の毛を緑色に染め上げ、有刺鉄線バットと蛍光灯束持参で入場。だが、試合ではデスマッチアイテムを封印し、あくまでも正攻法で挑んできた。

 総合格闘技の経験もある竹田は、アマレス出身の青木とグラウンドでも渡り合うと、鋭いスピアーやアンクルホールド、ハーフネルソンスープレックスなどで王者の牙城を揺るがす。しかし、青木もキックをかわして飛びつき式腕十字固めからのトラップオーバーで捕獲し、粘る竹田をついにギブアップさせた。

 敗れはしたものの、大歓声を受けた竹田は、王者・青木の頭をポンポンとはたき、最後まで異端者の姿勢を崩さず。一方、青木には、防衛を祝福していたはずの佐藤が、横で「次期挑戦者」の掛け軸を広げながら、何気に記念撮影に一緒に収まり既成事実を作り上げると、青木も「よし、やろう!」とこれを受諾。「いろんなタイプの人がこのベルトを欲しがるというのが一番いい。タイミングとお客さんの反応がすべて」と、今後も団体内やファイトスタイルにこだわらず、幅広い挑戦者を受け止める懐の広さを示したため、挑戦権を簡単に手に入れた佐藤も「何、あっさり。逆に怖いよ」と半信半疑に陥った。

超肉弾対決は岡林がゼウスに勝利

ゼウスと岡林の肉弾戦は岡林が勝利 【横田修平】

 スペシャルシングルマッチとして、ゼウスvs.岡林裕二の超肉弾対決が実現。ゼウスは2本の世界タッグ王座、岡林は大日本のBJWデスマッチヘビー級王座のそれぞれのベルトを巻いて登場。チャンピオンとしての覚悟を見せて臨んだ。

 逆水平チョップ、タックル、ラリアットの打ち合いで鈍い音が響き渡る中、ゼウスはチョークスラム、デッドリードライブ、フライングラリアットと一気呵成に攻め込むも、岡林がカウンターのラリアットで形勢逆転すると、さらにパワーボム、ゴーレムスプラッシュで圧殺した。

「これが大日魂。ストロングBJの誇りですよ」と胸を張った岡林は、「本当にやばい。本当に凄い」とゼウスの強さを絶賛。「会場に来ている大日本のファンの皆さんと一緒に獲った勝利。この気持ちを消さずに前に進んでいきたい」と、今後も大日魂を胸に、さらなる強敵を迎え撃つことを決意した。

AJレンンジャーが始動も初戦は黒星

AJレンジャーの連携攻撃が決まる 【横田修平】

 大森隆男が05年に若手育成のために結成したユニット・アックスボンバーズに対抗し、秋山準がメンバーを集めたAJレンンジャーがついに始動。

 AJレンジャー”ホワイト”秋山準、AJレンジャー”レッド”中島洋平、AJレンジャー”ブルー”青柳優馬、AJレンジャー”グリーン”入江茂弘組vs.大森隆男、木高イサミ、宮本裕向、田村和宏組による8人タッグマッチが行われた。

 AJレンジャーは、それぞれのカラーのマスク&コスチュームで登場し、ホワイトが抱っこで連れて来た小さなピンク仮面の女の子と共にリング上でポーズ。一方、すでに10年来の絆を誇るアックスボンバーズは、4人がかりのアックスボンバートレイン攻撃を放つなど、リーダー・大森の熱苦しさが伝播したファイトを見せる。AJレンジャーも4人での同時ジャンピングニーは成功させたものの、勝手にマスクを脱ぐグリーンの暴走が足を引っ張り、レッドが田村に3カウントを献上してしまった。

 6.9群馬・伊勢崎大会ではGAORA TV王座を賭け、素顔の中島として田村の挑戦を受けるレッドは、「太陽の国メキシコで情熱の赤をたっぷり太陽から吸収して、情熱のレッドとして帰って来る」と、タイトル戦でのリベンジを誓った。

諏訪魔「みんなまとめてぶっ潰したい」

諏訪魔が7月の復帰を宣言した 【横田修平】

 今年の1.2後楽園で三冠王座を戴冠直後、右足アキレス腱完全断裂により長期欠場していた諏訪魔が、7.14後楽園での6人タッグマッチ(諏訪魔、青木、野村vs.ゼウス、石川、スーパータイガー)で復帰することが決定した。

 スーツ姿でリングに上がった諏訪魔は「今の全日本に自分がどれだけ通用するのか挑戦したい」と復帰を表明。「みんなまとめてぶっ潰したい」と、いきなりエンジン全開で臨むことをアピールした。

「もう8割以上回復している」と、リハビリを実戦モードに切り替えている諏訪魔は、自分がいない間に「いろんな意味で生まれ変わった」全日本マットに、あえて「挑戦」というスタンスで挑んでいくと決意表明。新たに三冠王者となった宮原にも視線を送りつつ、「プロとしてのあり方を示していきたい、追及していきたい」と、この欠場をバネに、さらなる高みを目指すと訴えた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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