絶賛爆発中の広島“史上最強打線” ローテ崩壊の投手陣をカバーできるか!?

ベースボール・タイムズ

個人打撃部門に多数ランクイン

確実性がアップした来日5年目のエルドレッド。現在、打率と本塁打のリーグ二冠で広島の強力打線をけん引している 【写真は共同】

“最強打線”が止まらない。広島が5月7日の横浜DeNA戦で今季19度目の2ケタ安打となる計17安打を放ち、今季7度目の2ケタ得点となる10点を奪って逆転勝ち。翌8日に敗れて首位の座を中日に譲ったが、5月10日終了現在でチーム打率2割7分9厘、同得点192、同本塁打39は、セ・リーグのみならず12球団でも断トツを誇っている。

 個人成績を見ると、セ・リーグ打者成績の打率部門1位のエルドレッド(打率3割6分2厘)を筆頭に、同6位の新井貴浩(打率3割2分6厘)、同8位の丸佳浩(打率3割2分2厘)、同9位の菊池涼介(打率3割1分6厘)、同13位に田中広輔(打率3割2厘)と5人が打率3割を超えている。さらに本塁打部門では、エルドレッドがリーグ1位タイの12本で、以下、丸が同8位の7本、菊池と鈴木誠也が同11位タイの4本。打点部門では、新井がリーグ2位タイの28打点で、同5位に丸が26打点、エルドレッドが6位タイの25打点、同9位に菊池が22打点、同13位タイには鈴木誠也が19打点で続いている。

 他球団の今季の2ケタ得点試合を見ると、千葉ロッテが今季3試合で、他の10球団は2試合以下。広島の7試合がいかに突出しているかが分かるはずだ。この爆発力を前に、ちまたでは、チーム史上最強打線と言われた90年代中盤の“ビッグレッドマシン”打線を超えた、との声も挙がるほどだ。

復活&進化した“キクマル”コンビ

昨秋から打撃フォームを改造した丸は今季2打席連続本塁打を記録するなど長打力に磨きがかかっている 【写真は共同】

 打線好調の最大の要因は、昨季からチームの主軸として期待されている菊池、丸の好成績にあるだろう。昨季は優勝候補と期待されたチームで、打線をけん引する役割を期待されながら、菊池は打率2割5分4厘、丸は打率2割4分9厘と、期待を大きく裏切る結果に終わった。

 その2人がよみがえった。昨季からの変化が一目瞭然なのが丸だ。昨秋キャンプから打撃フォーム改造に取り組み、打席内でバットを構えた際のグリップの位置を変え、それまですり足だったステップを、右足を大きく上げる形にした。本人曰く、「足でボールを捕まえるイメージ」という新たな試みが、徐々に自分のものとなり、今季は2打席連続本塁打を記録するなど、長打力にも磨きがかかっている。

 菊池の場合は、「ケースバッティングをやって、それが安打や本塁打につながっているだけ」と、意識の徹底を口にすることが多い。さらに「引っ張るとか右方向とかは意識していない。反応で打てている」と、あくまで自然体を強調する。昨季は5月に頭部死球を受け、さらに両ひざに故障を抱えるなど、体調面での問題も大きかった。今季は万全とは言えないまでも、身体面で不安が見えるようなプレーは見られない。

打順固定で得点力アップ

2番に座る菊池は「常に打線のつながりを意識」するバッティングを心掛ける 【写真は共同】

 打順の固定も、得点力アップにつながっている。昨季は固定できなかった1番打者に、プロ3年目の田中が定着。昨季から守備力を買われてショートの定位置に抜擢された田中だが、今季は3割前後の打率を残しながらパンチ力も秘めた打撃でも存在感を発揮している。

 この田中の後を打つのが、2番の菊池、3番の丸で、今季は10日までの36試合すべてで、この3人が1〜3番を務めている。打順の固定により、2番の菊池は「常に打線のつながりを意識」するようになり、3番の丸は「クリーンアップに入っているので、走者を返す打撃をしたい」と、それぞれが自らの役割を再認識し、見事に役割を果たす形になっている。

 4番以降の打順を見ても、開幕当時は4番に今季、中日から移籍したルナ、5番にエルドレッド、6番には新井が固定されていた。ルナの故障離脱後は、得点圏打率が4割を超える新井が4番に座り、6番にはブレイクの兆しを見せる鈴木が入っている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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