またも五輪代表を逃した浅見八瑠奈 早すぎた敗戦、2強対決も実現せず
4年前と同じ……また1回戦負け
ロンドン五輪の最終選考会と同じ1回戦負けを喫した浅見は、リオ五輪代表に落選した 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
浅見は試合後に「自分の中では全力を出し切った。ここに懸ける4年間の思いがあったのは、いつもの(試合)とは違うかなと思う。それだけ大切にしていた大会なので(初戦負けという)結果よりも畳にもっと長く立っていたかったなという気持ち。自分の中では、4年前のことも踏まえてベストを尽くしたつもり」と話し、涙をこぼした。
リズムが見られなかった森崎戦
浅見は10年、11年の世界選手権2連覇など、実績面で大きくリードしながら、12年ロンドン五輪の代表最終選考会で高校生に1回戦負け。目前で五輪出場を逃した。リオ五輪に関しても近藤とともに代表の有力候補となっていたが、またも初戦で敗れた。
浅見は「ここに来るまでは調子が上がっていたので、今日は投げたいという気持ちがあった」と積極性を見せたが、1回戦の相手・森崎由理江(A−LINE)を崩せなかった。最初に指導を取られた後、投げにいったが技が決まり切らず、残り時間1分12秒で再び指導を取られて窮地に追い込まれた。残り時間23秒で森崎に指導が与えられ、反撃ムードとなったが、直後に攻めて出たところで、大内返しによる有効を奪われて敗れた。
試合を通して、コンタクトレンズが何度も外れ、得意の足技も見られないなど、終始リズムが出なかった。「相手と自分の技がかみ合わなかった。先に指導を取られて少し焦った部分はあるかもしれない。(最後は)後がないので、リスクを負って出ていったところを合わされたと思う」と試合を振り返り、指導を取られた点については「奥襟を取って来ていて、それを嫌がって片襟になってしまったところで指導を取られたと思う」と納得している様子だった。
ライバル・近藤との明暗
動きが硬かったかという問いには「ここに来るまでは調子は良かったが、結果的には……今の結果がすべてでしかないと思う」と言葉を濁した。プレッシャーがかかる大会であることは十分に理解し、心構えをして臨んだ。だからこそ、無念さが募る。浅見は「今日は絶対に勝ちたいし、プレッシャーもある中で、それを全身で受け止めてでも畳に上がろうという気持ちだったので、それに勝てなかった自分の弱さだと思っている」と4年前のトラウマを越えられなかった悔しさをにじませた。今後の方針については白紙だが「悔いはない」と言い残した。
長く、2人で代表の座を争ってきただけに、優勝して代表に選ばれた近藤にとっても残念な結果だった。直接対決に勝って代表にふさわしい存在であることをアピールしようと考えていたという近藤は「もともとは(浅見に)練習をお願いしていた立場。高め合うというより、高めてもらった存在。おかげで自分のレベルが上がったと思っている」とライバルに感謝を示し、また試合後には「自分が代表に決まったら、そういうのも全部背負って、責任を持って戦いたい」と話していた。
2強対決は、直接対峙(たいじ)することなく選考レースの最終章で明暗を分けるという思わぬ形の決着で幕を閉じた。
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