引退する小塚崇彦がファンの質問に回答 佐藤信夫コーチを怒らせた出来事とは?

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信夫先生に一番怒られたこと

練習に気持ちが入っておらず、佐藤コーチ(右から2人目)を怒らせたことも 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――まだまだ続きます。これまでで(佐藤)信夫先生に一番怒られたことは?

 みんな怒られたエピソードを聞く(笑)。一番は何でしょうね。2、3年前の練習のときに僕の気持ちが入っていなくて、「そんな練習しているんだったら帰れ!」みたいに言われて、「はい」って帰っちゃったんですよ。それから授業に行って、終わったあとにリンクに行ったら、「お前、何やっていたんだ?」と聞かれたので「授業に行っていました」と答えたら「バカ野郎」って(笑)。それがたぶん一番かな。あとは道で石を蹴って遊んでいたら、石が信夫先生に当たったという(笑)。

――それはさすがに怒りますよ(笑)。

 痛がりながら「バカ野郎」って言っていました(笑)。

――最近ご結婚されましたが、奥様の手料理では何が好きですか?

 何でも作ってくれますからね。冷蔵庫にあるものでもちゃちゃっと作る感じで。種類も豊富ですよ。おつまみをつくるのがうまいですね。1つに絞るのは難しいのでちょっと考えときます。

――今まで試合で海外を転々とし国内でも神出鬼没でしたが、今後はどのあたりを拠点にしますか?

 基本は愛知県だと思いますが、社業によっては分かりません。確かにけっこう神出鬼没でしたね。いろいろな所に行きましたし。その体力はあると思うので、それは今後も生きるかなと。移動中に寝られるのは強みだと思いますしね。なんならここで今「寝ろ」って言われれば寝られますから(笑)。

――特技は「どこでも寝られる」ですものね(笑)。選手時代はできなかったことで、これからチャレンジしたいことはありますか?

 エッジを作ったり、選手時代にもけっこういろいろやっていましたからね。そう考えると、やっぱりいち社会人になることじゃないですか。サラリーマンとしてのスキルを身につけること。だからトヨタ自動車に入りたかったし、それだと思います。

基本の「滑り」を大事にしてほしい

――今後のフィギュアスケート界はどうなってほしいと思いますか?

 いち個人としての意見ですけど、2004年から今の新採点方式になって、時間を経るごとに、どんどん昔の良いフィギュアスケート感というか、そういうものがなくなっているかなと。フィギュアスケート感というのは何かというと、言い方は悪いかもしれないけど「無駄なこと」。例えば氷で遊んでいるような動作です。そういうのが少しなくなっている気がするので、点数にはならないかもしれないけど、スケートでしかできないことを大事にしてもらいたいなと思います。

――今はジュニアも構成が非常に高難度化していて、ケガをする選手も増えていると思いますが、こうした世代の競技の在り方について思うことはありますか?

 小さいころからケアに対する意識を持っていたほうがいいかなと思っています。筋肉痛が2日後にくるとか、すごい年を取ったように感じるかもしれないですけど、あれは感じていないだけで実は体にきているんですよ。それに小さい子たちも若いから大丈夫というわけではなくて、小さいけど体には負担がかかっているんだよということを知れる世界でなければいけないと思うんです。それはスポーツ界全体の話です。

 その中でもフィギュアスケート界はずいぶん遅れているんじゃないかなと僕は思っています。個人でケアのトレーナーをつけたのも僕が初めてですし、そういったところでのサポート体制はもっと密に連絡の取れる体制かつ、迅速に対応できるようにしていかないといけない。スケートの技術は、周りが追いついていけないぐらい成長していると思うので、サポートがなければ厳しいし、1人でできるスポーツではないのでそういう部分も成長していってほしいですね。

今後の選手たちには氷の上で遊ぶような「無駄なこと」も大事にしてもらいたいと語る 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

――より日本のフィギュアスケートが強くなっていくために、どういう取り組みをしていけばいいと考えますか?

 もっとスポーツ科学というものが入り込んでいくといいのかなと。「スポーツ科学」と聞くと難しい感じがするんですけど、そんなことはないんです。今、導入されていることといえば、iPadで映像を撮ってもう1回見直すこと。これもスポーツ科学の一種だと思うんですよ。そういったことが少しずつ入っていっているからいいと思うんですけど、もっと「こうなっているから、ここは少しこうしたほうがいいんじゃない?」というよう話ができるようになるといいと思います。栄養やケア、トレーニングの部分もそうだし、ウォームアップもそう。そういうものがよりスケート界に入っていけばいいなと。

 僕はスポーツバイオメカニクスという分野を勉強したし、ほかの人はスポーツ栄養学、心理学かもしれない。こうしたものを得意分野として持っている先生たちは絶対いるので、それを持ち込み、相談できたらすごくいいんじゃないかなと思っています。初めは窮屈かもしれないですけど、あとになってやってみてよかったなとなるんじゃないかなと僕は思っています。

――最後の質問です。今後の選手たちに期待することは何でしょうか?

 技術はどの選手も頑張って練習していくと思いますが、やっぱり楽しく滑ってほしいですね。せっかく滑るのなら、気持ちよく滑ってほしいですし、フィギュアスケートの基本となる「滑り」を大事にしてもらえたらなと思います。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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