デ杯で一番厳しいアウェーの洗礼は? 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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フェアだったイギリスの観客

錦織圭(右)擁する日本代表は、敵地バーミンガムに乗り込むもイギリスに敗れた 【写真:ロイター/アフロ】

 今年のデビス杯(デ杯)ワールドグループ1回戦でイギリスと対戦し、1−3で敗退した日本代表。しかし、もし錦織圭選手がアンディ・マリーに勝っていたら、と思わずにはいられませんでした。勝負に“たられば”はありませんが、それくらい実力的にもわずかな差で、惜しくも、という敗戦でした。

 デ杯や女子のフェド杯では、アウェーでの戦いはそれだけで大きなハンディになります。今回はイギリス・バーミンガムでの開催でしたが、デ杯の応援としてはかなりフェアだったという印象があります。フェアな応援という意味では、イギリス人の国民性は日本人に少し似ているのかもしれません。もっと一方的な応援で、より過酷な環境で試合をしなければならないケースもあるのです。

 昨年のデ杯で日本チームが遠征したコロンビアは、まさにそうしたタフなシチュエーションでしたが、日本チームはそこでも実際に勝ってきています。もちろん、ホームのほうがコンディションが整いやすいですし、観客や周囲の応援が力になり、選手にとって戦いやすいのは間違いありません。それでも、今のデ杯代表は、アウェーだから負けたとかアウェーの空気にやられたということがないチームなのではないか、というのが私の印象です。

デ杯ならではのサーフェスの難しさ

 アウェーの対戦で一番大変なのはサーフェスです。選手にはそれぞれサーフェスの得意、不得意がありますが、今回、イギリスはエースのマリーに一番合った、遅めのハードコートというサーフェスを用意しました。もちろん、アウェーチームの希望は通りません。ホームチームが相手エースの不得意なサーフェスを準備することもありえます。そこは選手にとって一番厳しいですね。

 同じハードコートと言っても、会場によってプレーしたときの印象は全然違います。デ杯やフェド杯は普段テニスコートとして使っていない会場に特設コートを作るケースも多いので、これもやりにくさの一因になります。会場のもともとの床材はさまざまですから、時には板の上にまた板が乗っているような感覚のコートで試合をする場合もあります。そういうコートでは、たまにイレギュラーバウンドがあったり、足下がおぼつかないというか、しっかり足を踏み込みにくく一歩が出にくいということも正直あるのです。

 ただ、錦織選手の素晴らしさはどんなサーフェスでも戦えるところです。もちろん多少の得意不得意はありますが、アジャストが必要なところでも(適応しきれていないな)と感じさせることがほとんどありません。そうやってアジャストしてしまうのが、彼の今の実力なのかもしれません。

日本代表はチームとして成長している

 錦織選手はじめ今の日本代表は、応援やサーフェスなどからくる“アウェー感”を見る者に感じさせないチームだと思います。全員が選手として成長していますし、チームとしても成長しているからでしょう。昨年のコロンビア戦など、選手たちが場数を踏んだことも大きかったと思います。

 錦織選手という絶対的エースの存在も大きいでしょう。シングルス・ナンバー2の選手もやりやすいでしょうし、対戦では必ずキーになるダブルスでも、選手たちが錦織選手からいい刺激を受けているのは間違いありません。

 まだまだ伸びしろがあるチームですし、気迫はすごいし、チーム内にいい雰囲気が漂っていると感じます。次に期待ですね。
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