坂口智隆、連覇を狙うヤクルトの救世主へ 課題だった「1番・センター」を埋める男
オリックスで実績のある坂口が今季からヤクルトへ加入。連覇を狙うチームにとって課題だった「1番・センター」が期待される 【写真は共同】
東京ヤクルトの新戦力、坂口智隆(31歳)が、オープン戦で見事に結果を残した。なるべく多くの選手に出場機会を与えるというチームの方針もあり、規定打席には到達しなかったものの、10試合以上出場した選手の中で打率はチームトップ。もっとも、これまでの坂口の実績を考えれば、そんなに不思議なことではない。
オリックスでは好守巧打の外野手
ところが、野球人生は何が起こるかわからない。故障禍に見舞われたのは、12年。試合中にダイビングキャッチを試みた際に右肩を強打し、右肩肩鎖関節脱臼およびじん帯断裂の重傷を負うと、翌13年はシーズン途中で腰を痛めて離脱。チームが福岡ソフトバンクと熾烈な優勝争いを演じた14年は、3年ぶりに出場100試合を超えたが、自身は打率2割3分5厘と精彩を欠いた。
昨季は好調の春もオフには自由契約
「開幕してからも良かったんで、レギュラー取ってから10年近くやった中でも、春先の手ごたえとしては一番ありましたね」
昨シーズンの序盤をそう振り返る坂口だが、5月に入ってパタッと当たりが止まると、ほどなくして登録抹消。その後、2度と1軍の舞台でプレーすることはなかった。そして9月、球団から野球協約上の制限を超える大幅な減俸を提示され、自由契約という道を選んだ。
新天地では金髪から黒髪へ
「坂口はああいう形で退団したんですけど、また新天地で輝いてくれることをすごい願っていますし、こういう経験をしてもらいたいなっていうのがあるんで…『優勝っていいもんだぞ』ってね」(大引)
それから1カ月あまり、坂口は新天地にヤクルトを選んだ。昨年11月30日に行われた入団会見には、オリックス時代にトレードマークだった金髪を黒髪に戻し、ヒゲをそり落として現れ、意気込みを口にした。
「こうやって拾っていただいて感謝の気持ちしかないですし、絶対にやってやろうという気持ちがまた強くなった感じですね」