松山、石川、岩田がゴルフで伝える思い 一口で語れない、それぞれの「3.11」

「自分に何ができるのか」と自問し続けた5年

2011年当時も積極的に被災地支援を行っていた石川遼。今でも非公式での石巻訪問を行っているという 【写真:アフロスポーツ】

 石川遼は、キャデラック選手権の2日目の朝、いつものようにパソコンを開き祖国の惨状を知った。この日は、前日サスペンデッドになった残り6ホールを終え、7アンダーで単独2位という好成績で記者会見に臨んだが、記者たちの質問は、もっぱら大震災についてのものだった。しかし、電話も通じず、かろうじてメールで家族の無事を知る程度の石川は、「心配です」と答えるのが精いっぱいの様子であった。しかし、ブログにはこうつづっていた。

「アメリカにいても日本のみなさんの冷静な対応とみなさんの絆の強さが伝わってきます。心の底から自分が日本国民であることを誇りに思いました。同時に自分がプロゴルファーであること、プロゴルファーとしてなにができるか。それを考える日々です。遠く離れた地からではありますが、今、恐怖と戦っているみなさんにエールを送ります。強く願えば必ず叶う。ひとりひとり自分のやるべきことに全力で取り組めばいつか絶対に良いことが待ってる。そう信じてます」(原文ママ)

 米国でも連日、震災の様子が報道される中、石川は自分に何ができるかを模索し続けていた。そして表明したのが、賞金の全額と1バーディにつき10万円の寄付という大胆なプランであった。

 さらに石川は、その年の7月に被災地を訪問し、石巻市立門脇小学校の6年生と交流を持つようになる。その訪問は不定期ながら、ほぼ毎年の年中行事になった。子供たちと会うたびに石川は「自分に何ができるのか」を自問し続けている。それは、彼ら、彼女らとともに自分の成長を見守ることなのかもしれない。

 今年1月4日、石川は1年半ぶりに石巻を訪れた。初めて会ったときは小学校6年生だった子供たちも、今はもう高校生だ。石川は、成人式を迎えるまで見届けたいとしている。

 米ツアーで戦う3人の日本人選手は、どんな思いで3月11日を迎えるのだろうか。

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著者プロフィール

長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。現在はフリーのゴルフジャーナリストとして、主に週刊誌、日刊誌、季刊誌になどにコラムを執筆している。

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