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鈴木隆行「何を言われようと熱く生きる」
豊富な経験から次世代につなげたいこと
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これまで海外の4カ国5チームでプレーをし、日本でも多くのクラブでプレーをしてきた鈴木隆行
これまで海外の4カ国5チームでプレーをし、日本でも多くのクラブでプレーをしてきた鈴木隆行【(C)WOWOW】

 2015シーズンをもって、21年間の現役生活にピリオドを打った鈴木隆行。鹿島アントラーズでプロサッカー選手としての第一歩を踏み出すと、国内クラブだけではなく、ブラジル、ベルギー、セルビア、米国と数多くの国外クラブを渡り歩いてきた。


「好奇心が強い人間だから、すごく幸運で前に進む気持ちが強かった」


 これが21年もの間、ボールを蹴ることをなりわいとしてきた彼の心のエンジンを突き動かしてきた動機だ。


 ボールを扱うテクニックやセンスを武器にするのではなく、球際や競り合いでファイトし、絶対に負けない、そして最後まで諦めないという強固なメンタルで勝負するのが彼のセオリーだった。


 一方で「試合に出場できない苦しさや、出場しても常に結果を求められる苦しさがあったが、それを乗り越えることで経験を積んできた」と語る。心の中の“不屈の闘志”という大黒柱が、苦しさという壁を乗り越えさせてきた。


 そして、自分のサッカーを追求してきた鈴木が次なるステップに選んだのは指導者の道である。


「いろいろな立場で考えることができる、選手の迷いや苦しみを理解して共に歩んでいきたい」


 鈴木は苦しい状況に立たされてきたこと、海外でのチャレンジや日本代表も経験したからこそ、次の世代につなげていくことの重要性を強く感じている。常に前を向き、1分1秒も無駄にせず、チャレンジすることの大切さを身を持って知る彼に、今後の日本サッカーに必要なヒントを聞いた。

理想とする指導者像は「選手のために尽くす」

――15シーズンをもって、21年間におよぶ現役生活からの引退を発表されました。日本ではJリーグの新シーズン開幕が近づいていますが、現役に対する心残りはあるのでしょうか? 現在の率直な心境を聞かせてください。


 蹴りたいという気持ちはまったくないですね(笑)。指導者になるのが僕の目標なので、早く自分のチームを持って指揮を執りたいという気持ちの方が強いです。


 自分が現役生活で考えてきたことや今まで経験してきたことの積み重ねは、絶対に間違っていないと思っています。選手のためにも、自分の培ったものを伝えたいですし、早く指揮を執る立場になりたいです。


――これまで多くの監督の下でプレーをしてきたと思いますが、理想とする指導者像があれば教えてください。


“選手のために尽くす”ただそれだけです。選手のレベルを上げるだけではなく、気持ちの面や家族へのフォローなど、チームのためにやれと突き放すのではなく、個人が活躍できる場を作ることを大切にしたい。選手が気持ち良くサッカーに打ち込める環境や状況を作ることが大事だし、尽くした分だけ結果として返ってくるものだと思っています。


 現在は、解説の仕事などをしていますが、今年はS級ライセンスを取りにいきます。しっかりと勉強したいです。


――ご自身の経験から、指導者を目指す上でプラスに働くと感じる点を具体的に教えてください。


 プレーを続けていく中で苦しい状況はたくさんあります。しかし、僕には海外のチームをはじめ、多くのクラブを渡り歩いた中で得た知識や経験があります。


 いろいろな立場に身を置いてきたので、選手の気持ちは分かるつもりです。例えば、選手がファンやサポーターの皆さんにとって「何してるの? こんなの考えられない!」と思うようなプレーをしても、僕にはそのプレーの意図をくんで、理解することができます。怒りはしますが(笑)。


 選手達をいろいろな面から支えて、少しでも良い方向に進んでもらうために助けたい。選手に寄り添っていければと思っています。


――当時、米国でプレーを続ける選択肢もあった中で、地元である茨城県の被災地復興のために無報酬で水戸ホーリーホック(11年〜14年)でのプレーを決断されました。サッカーを通して世の中に貢献したいという熱い思いが、別の形となり指導者への熱量を呼んでいる気がするのですが。


 どうでしょうか。自分から言うのは変な話ですが、何を言われようと、とにかく“熱く生きたい”と思っています。歳を重ねると、熱い思いがなくなる人が多いと思う。でも、それは本人次第だと思います。この先も熱く生きていかなければつまらないし、寂しい人生になる気がしています。そうやって生きていける人間は一握りかもしれませんが、自分次第だと僕は思います。

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