スーパーボウルが米国で人気のわけ スポーツから生活に根ざした文化へ

一野洋

全米で最も盛り上がるイベント

ブロンコスが17年ぶりの王座に輝いた今年のスーパーボウル。全米一のスポーツイベントとなった理由を探る 【Getty Images】

 全米で一番人気を誇るスポーツの最大のイベントが、大盛り上がりで幕を閉じた。

 NFLの頂上決戦であるスーパーボウルが現地時間7日、カリフォルニア州サンタクララにあるリーバイス・スタジアムで行われ、AFC王者のデンバー・ブロンコスが、NFCチャンピオンのカロライナ・パンサーズを24対10で下し、NFLチャンピオンの座に就いた。

 NFLのスーパーボウルは、あらゆる側面から見て、全米で一番盛り上がるイベントと言える。特に、視聴率、視聴者数、CM30秒の金額などは他のスポーツの追随を許さない。視聴率は軒並み45%を超え、全米スポーツ中継の視聴率歴代トップ10のうち9つをスーパーボウルが占める。視聴者数でも全米歴代テレビ番組のトップ5をスーパーボウルで独占し、昨年は1億1400万人で、米国テレビ史上最高の数字をたたき出した。そして、CMの金額。年々高騰しているが、今年は30秒で500万ドル(約6億円)。日本では考えられない破格の数字だった。

ファンの興味をあおる施策が満載

ハーフタイムショーには今年もビヨンセ(左端)をはじめ豪華アーティストが集結 【Getty Images】

 スーパーボウルはハーフタイムショーも、ファンを興奮の渦に引き込む。前半の終了後に行われるショーで、世界的に人気のアーティストが出演してスーパーボウルを彩る。元々はマーチングバンドが演奏していたが、その間に視聴率がガタ落ちとなるので有名アーティストをそろえるようになった。その走りが、1993年に行われた第27回のマイケル・ジャクソンとも言われる。これまでに、マドンナ(2012年)、ビヨンセ(2013年)といったそうそうたるアーティストが出演し、今年はイギリスの人気ロックバンドのコールドプレイのほか、ビヨンセ、ブルーノ・マーズが大会を盛り上げた。

 気になるアーティストの出演料だが、ほぼ無償との話もある。それでも、全米で約2人に1人が視聴しているのだから、アーティスト側としては十分大きなプロモーションとなる。

 スーパーボウルまでの1週間は、ファンの興味をあおる施策が満載。スーパーボウルまでの1週間は「スーパーボウル・ウィーク」と呼ばれ、出場チームの地元や開催地はもとより、米国全土がスーパーボウル一色に染まる。その中でも、特に開催地は熱狂的な盛り上がりを見せる。

前夜のコンサートには多くのファンが集結し、熱狂に包まれた 【(C)NFL JAPAN.COM】

 今年のホストシティであるサンフランシスコでは、ダウンタウンの目抜き通りに、「スーパーボウルシティ」と銘打たれた通りが作られた。その通りは、4ブロック、約1マイル(1.6キロ)を封鎖して、ファンのためのイベントを開催。スーパーボウル前夜には、人気歌手アリシア・キーズのコンサートが無料で行われ、多くのファンが熱狂した。また、スーパーボウルを生中継したCBSスポーツは、この1週間で72時間のスーパーボウル関連番組を放送して、人々の大会への関心度を高めた。

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