元ロッテ清水直行NZ投手コーチに聞く=第4回WBC予選直前インタビュー

侍ジャパン公式

2月11日から始まる第4回WBC予選オーストラリアラウンドのニュージーランド代表の投手コーチを務める清水直行氏(右) 【(C)SAMURAI JAPAN】

 ドミニカ共和国が大会史上初の全勝優勝を果たして閉幕した2013年ワールドベースボールクラシック。いよいよ、第4回目のWBC予選となる大会(本大会は17年3月に開催予定)が、日本時間2月11日にシドニーで開幕する。オーストラリア、フィリピン、南アフリカと同組に入りWBC予選に挑むニュージーランド代表の投手コーチ・清水直行氏に、大会に向けた意気込みや国際野球の今後について聞いた。

「予選は厳しい戦いになる」

――まず、ニュージーランドのスポーツと言えば、世界的にもラグビーのオールブラックスというイメージが強いと思いますが、実際、ニュージーランドで野球はどのような形で行われているのでしょう?

 野球は地域のクラブでの活動が中心です。数としてはオークランドで5〜6チーム。南部はウェリントンやクライストチャーチまで。子どもからキャッチボールをする大人まで含めたら約5000人がプレーしていますが、純粋な競技人口となるともっと少なくなると思います。

――その中で、ニュージーランド代表は、どのようにメンバーを選びWBC予選に挑むのでしょうか?

 今回のチームはオーストラリア(ABL)でプレーしている選手が中心です。ニュージーランドで活動している選手は投手を中心に5〜6人。野手はほとんど海外を拠点に活動しています。オーストラリアのほかには、アメリカが多いです。

――いよいよ、2月11日からWBC予選が始まりますが、ニュージーランド代表はどのような野球をしていくのでしょうか?

 予選に出場する各国(オーストラリア、フィリピン、南アフリカ)のロースター(登録選手)が発表になりましたが、南アフリカに米大リーグ・マイナーリーグ所属の選手が登録されているなど、手ごわい印象を持ちました。フィリピンは前回(13年WBC予選)ニュージーランドに勝てると踏んでいて負けたこともあり、その雪辱を期している部分もあるかと思います。従って、オーストラリア戦だけでなく全ての試合が緊迫した厳しい戦いになると思います。(私が担当する)投手陣としては、最少失点で守らないといけません。

 いい投手が投げたら打てないのが野球だけと、味方がしっかり打って守ってくれるのを待つ戦いになると思います。初戦の南アフリカ戦の入り方をどうするか、というのも大事な要素です。オーストラリアについては登録選手の顔ぶれを見ても、ニュージーランドよりも明らかに格上だと思いますが、野球はやってみないとわからない

 ニュージーランドで強化トレーニングをしている現在(2月5日時点)、予選の開催地であるシドニーで集合する選手が何人かいてまだ選手全員を見られていないという編成上の困難さはありますが、投手10数人のピッチングは見ました。投手陣の編成方針としては、抑えとかセットアッパーという役割分担ではなく、試合の流れの中で「重要なイニング」でいくピッチャーは誰で行く、というグルーピングをしています。

「体力的ポテンシャルはある」

――日本のプロ野球やオリンピック代表も経験されている清水さんから見て、ニュージーランド野球のポテンシャルはどうですか?

 まだまだ技術的・体力的にも世界の上位に入れるチームではないと思います。体格的なポテンシャルがあるだけに、もっと小さいときからいろんなことを伝えておけばもっとよくなるのにと思います。現在のニュージーランドでは技術を伝える時間も、教える人材も、また子供たちが一流のプレーを見る機会も不足しています。

――清水さんは、今回のトップ代表だけでなく、夏に日本(福島)で行われるWBSCワールドカップに出場するU−15世代などの世代も指導されています。日本に比べて、競技力が高いとは言えない、ニュージーランド野球に対して、どのようなことを心がけて指導されていますか?

 ニュージーランドの子どもたちは、国外の野球と触れる機会が少ないので「自分たちが一生懸命やっていること」しか見えていない部分があると思います。今年のU−15ワールドカップに出場する同世代の対戦相手はもっと練習しているぞ、と伝えています。

 打撃に関しては、とにかくバットを強く振ることを説いています。そのほか、人間形成においては道具をリスペクトすること、毎日練習場まで送迎している両親に感謝することなども教えています。U−15ワールドカップでは試合以外にも練習や交流において、海外の選手たちからいろいろ刺激を受けることが大事だと思います。

――野球のグローバル化にご尽力されている清水さんの目標を教えてください。

 野球とつながりのなかった国との懸け橋になれればいいと思っています。今は日本とニュージーランドをつないでいますが、これから野球を頑張りたいという国がほかにあれば日本野球としてやらなければならないと思うし、野球をしたいと思う子どもたちが夢を見れる環境をつくることに携わっていきたいです。
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