低調なバルセロナと復調したレアル リーガの行方を分からなくする2強の現状

バルセロナが逆転優勝を許すとは考えにくいが……

首位に立つバルセロナだが、苦戦続きだったここ数試合のプレー内容には不安が残る 【写真:ロイター/アフロ】

 全38節のリーガ・エスパニョーラが22節まで消化した現在、バルセロナは2位アトレティコ・マドリーに勝ち点3差、3位レアル・マドリーに4差をつけている。それだけでなく、1試合消化の少ないバルセロナが現地時間2月17日に行われる延期分のスポルティング・ヒホン戦に勝てば、その差はさらに広がることになる。

 現時点でバルセロナにはレアル・マドリー、セビージャ、バレンシアをカンプノウに迎えるホームゲーム、そしてビジャレアル、レアル・ソシエダとのアウェーゲームくらいしか勝ち点を失いそうな試合が残っていない。そのことを踏まえた上で、もし現在の勝ち点差を維持したままスポルティング・ヒホン戦でさらなるリードを手にした場合、もうリーガの優勝争いは大勢が決したと言うことができるだろうか?

 チーム力や統計データ、過去の例などを考慮すれば、バルセロナが今の状態から他のチームに逆転優勝を許すとは考えにくい。ただ、苦戦続きだったここ数試合のプレー内容は一抹の不安を残している。

磐石な試合を見せられないバルセロナ

先週末に行われた首位決戦では、アトレティコに勝利を収めたもののそれ以上の収穫はなかった 【写真:ロイター/アフロ】

 現在バルセロナは27戦と公式戦の無敗記録を伸ばしているが、最近は以前ほど盤石といえる内容の試合が見られなくなっている。1月30日に行われたアトレティコ・マドリーとの首位決戦(2−1)もそうだ。

 ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリーは幸先よく立ち上がりに先制したものの、ハーフタイムを迎える頃には状況が一変していた。それは突出したタレントを持つリオネル・メッシやルイス・スアレスのゴールによって逆転された上、フィリペ・ルイスが危険なファウルを犯して一発退場となってしまったからだ。

 だが、ごまかされてはいけない。バルセロナのプレーが良かったわけではないのだ。守備陣は以前のように落ち着いてポゼッションを保ちながら中盤にボールをつなぐことができず、パスコースが見当たらないままロングボールに逃げるシーンが何度も見受けられた。中盤のパスワークも以前ほどリズミカルではなく、ネイマールは周囲との連係を忘れてドリブル突破に固執する判断ミスを何度も犯している。

 このような光景はマラガとのアウェー戦(2−1)をはじめ、アスレティック・ビルバオとのスペイン国王杯準々決勝ファーストレグ(2−1)でも繰り返された。驚いたのは、アスレティック・ビルバオにはほんの数日前に6−0で大勝したにも関わらず、カンプノウでのセカンドレグ(3−1)でも大苦戦を強いられたことだ。開始早々に先制を許し、あと1失点で逆転される状況に追い込まれたこの試合でも、手遅れになる前に立て直すことができたのは攻撃陣の突出した破壊力のおかげだった。

 先週のアトレティコ・マドリー戦もそうだ。早い時間に先制された後、目を覚ましたバルセロナはコンパクトな陣形を取り戻し、敵陣でボールを支配し続けた15分ほどの良い流れの間に2ゴールを決め、状況を一変させてしまった。

 しかし、この日のバルセロナは逆転したとたんにペースを落とし、アトレティコが2人目の退場者を出し、失点の危険性がほぼ皆無になったにもかかわらず、その後はGKヤン・オブラクが守るゴールをほとんど脅かすことができなかった。それでも2−1まま試合を終えた結果、アトレティコとの勝ち点差を広げ、レアル・マドリーとの差を保つことができた。とはいえ、それ以外にこの試合から得られた収穫はなかった。

 国王杯でも迷走するバレンシアに大勝(7−0)し実質的に決勝進出を決めるなど、引き続きほぼパーフェクトな結果を出し続けているバルセロナだが、最近の試合ではこうした問題が繰り返されている。その傍ら、逆襲をもくろむレアル・マドリーはここにきて本来のレベルを取り戻し始めたようだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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