財政と戦力の問題を解消する千葉の大変革 J1昇格へ集まった強い意志を持つ男たち
新GMのもと、大幅に選手を入れ替え
過去に例を見ないほど大幅に選手を入れ替えた千葉はどう生まれ変わったのか? 【写真:アフロスポーツ】
その高橋GMの千葉での最初の仕事が、今季のチーム編成だった。現役引退した鈴木隆行、ブラジルのクラブ(PSTC)へ短期間の期限付き移籍をした浦田樹を除けば、21名もの選手がチームを去り、期限付き移籍を終えた仲村京雅以外の新加入選手は19名という、過去に例を見ないほどの大幅な選手の入れ替えが行われた。就任早々の取材対応の場で、高橋GMは「今までのチーム編成の仕方、選手との契約の仕方にかなり問題を抱えている。編成に関しては、ある程度選手を入れ替えないといけないと思っている」と話した。
財政的に余裕のあるクラブと思われている千葉だが、2007年から監督の解任が続き、違約金の支払いがチームの運営費に影響を与えてきた。さらに、獲得した選手の移籍金が人件費を圧迫しており、「昔からの積み重ねの問題があって、最終的に金額以上のパフォーマンスを選手が出すには、契約の仕方も含めて改めなければいけないところが多いと感じた」(高橋GM)という。
そこで、選手獲得に際しては移籍金がかからないことに加え、J1になかなか上がれない千葉の問題点を重視して「メンタリティー」を1つのポイントとした。
「9位ということを踏まえて選手と話をしているけれど、クラブの中に一貫性や意志の強さみたいなものが選手だけでなくフロントも含めて足りていないのは事実なので、そういうところをまず変えていく作業が必要。変に仲が良くて気持ちが良いというだけでも絶対にダメだと思う。クラブを変えようという強い意志を持った選手、もう一回ここで何とか活躍してやるんだという強い意志を持った選手を獲得したいと思った」(高橋GM)
得点力不足の解消を期待される選手は?
出場機会を求めて加入した長澤(右)は、ゴールもお膳立てもできるタイプの選手だ(写真はケルン時代) 【Getty Images】
また、昨季は得点機を作れるパサーが不足していた。ゲームメークができてゴールも狙えるパラグアイ代表のアランダは、在籍していたオリンピアに給料の未払い問題があり、「金額を抑えられそう」という背景もあっての獲得だった。また、出場機会を求めてケルンから浦和レッズに移籍した長澤和輝については、期限付き移籍での加入が実現した。長澤は浦和と太いパイプを持つ斉藤和夫テクニカルダイレクターがもともと獲得を熱望していた選手。ゴールをお膳立てするプレーだけでなく、自ら得点もできる。