FAも獲得球団なし、木村昇吾の今 望んだのは定位置ではなく競争

週刊ベースボールONLINE

入団テストへ「ワクワクしている」

昨秋にFAを宣言。しかし去就が決まらないまま2月1日から西武の入団テストを受験する 【写真は共同】

 入団テストを受ける西武では、まさに競争が待っている。まずは入団までこぎつけるためにアピールしなければいけない。テスト合格を経て初めてポジション争いに加わることができる。

「今までと違うキャンプになるのは分かっている。普通にやろうと思う時点で普通の精神状態ではないということ。緊張するだろうし、気を使うこともあるだろうけど、ワクワクしている」

 これまでも飽くなき向上心と選手としてのどん欲さが、木村を選手として成長させた。野球界を席巻した有望選手がそろう松坂世代の1人として、03年に愛知学院大からドラフト11位でプロ入りした。当時のドラフト最下位指名からはい上がってきた。同世代がユニホームを脱いでいく中、新しいことにチャレンジできる状況に喜びを感じる。

 FA権行使からたどった道のりは、これまでの選手とは大きく異なる。テスト入団という形に周りは冷ややかな視線を向けるかもしれない。木村は移籍の形にこだわったわけではなく、あくまで競争に身を置ける環境を選んだ。そして競争に勝ち抜き、その先にある成功をつかみ取ろうとしている。木村の決断による答えは今ではなく、その先にある。横浜から広島、そして埼玉へ。木村のプロ野球人生第3章はまだ始まったばかり。物語のクライマックスになるかもしれない。

(取材・構成=前原淳)

プロフィール

きむら・しょうご●1980年4月16日生まれ。大阪府出身。182センチ、78キロ。右投左打。尽誠学園高から愛知学院大を経て、03年ドラフト11巡目で横浜(現DeNA)に入団。08年に岸本秀樹とともに小山田保裕との2対1の交換トレードで広島に移籍。当時のブラウン監督に守備固め、代走要員として見いだされ、一軍での出場を増やした。10年の野村謙二郎監督就任以降は、先発での出場機会も増やし、その後も複数ポジションを守れるスーパーサブとして活躍を続けていた。2015年の年棒は4100万円(推定)。

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