センバツ当落線上だった21世紀枠の小山台 エース伊藤優輔が出場決定を振り返る
21世紀枠としてセンバツに出場した小山台のエース・伊藤優輔。現在は中央大の野球部に所属し、昨秋は大学1年ながら2勝、自己最速の147キロを記録するなど右の本格派投手として順調に成長を遂げている 【撮影:高木遊】
※リンク先は外部サイトの場合があります
恵まれない環境での都大会8強を評価
聡明さと爽やかさを併せ持った受け答えが印象的な伊藤。取材に臆することはまったくない 【撮影:高木遊】
入学当時はそこまで「甲子園に行きたい」という気持ちは強くなかったといい、「都立で勉強もできて、そこそこ野球も強い高校だったから」と正直に話す。だが、高校1年の夏にチームは東東京大会8強に進出する快進撃。これをベンチで見ていた伊藤は、「自分たちの野球も通用するんだな」と感じたという。
そして約1年後の2年秋、主将兼エースとして東京都大会8強に進出。こうした好成績や、他部との共用グラウンドや短い練習時間(17時まで)の中での工夫を持った強化が評価され、小山台は21世紀枠の関東・東京地区候補校となった。
日ごろから厳しかった生活指導
小山台は他部との共用グラウンドや短い練習時間の中での工夫を持った強化で、秋季都大会で8強に進んだ実績が評価され、21世紀枠に選出された 【写真は共同】
日常生活では、「学ランの第一ボタンを閉める」「電車通学時に、集団で固まらない」など細かな指導が学校内外であり、「1年生のうちは毎日誰かしら、生活の何かしらのことで怒られていました」と伊藤は笑う。
そのため、21世紀枠に選ばれたからといって、生活の緊張感はさほど変わらなかったが、「21世紀枠にふさわしい行動をするように、福島先生から口酸っぱく言われていました。特に僕らの学校は駅前で住宅地のど真ん中にあるので、“見られている”という意識は常に持っていました」と伊藤が話すように、より責任感の伴う行動が必要とされた。
センバツ出場校の発表日の前夜は「よく眠れました」というも、「やっぱり当日の5、6時間目とかは緊張でソワソワしていました」と懐かしそうに笑う。
だが、そんな緊張をあざ笑うかのように、練習に向け部室で着替えている最中に、校内から歓声が挙がり、部員たちは甲子園出場を知る。特別な日ではあったが、彼らの生活サイクルに変わりはなく、いつもと違ったのは大挙して訪れた報道陣や周囲の盛り上がりだった。