桐光学園、破壊力のある攻撃でリベンジを 自慢はバルサのMSNばりの3トップ

安藤隆人

武器は「攻撃力」、テーマは「相手の守備を破壊する」

9回目の選手権に挑む桐光学園。今年のチームの武器は「攻撃力」だ 【安藤隆人】

 水色のシャツと青色のパンツ。かつてのウルグアイ代表カラーが伝統のユニホームになっている桐光学園(神奈川)。かつて中村俊輔、藤本淳吾(共に横浜F・マリノス)らも身にまとった。選手たちは今年もこの“戦闘服”で、9回目の選手権に挑もうとしている。

 今年のチームの武器は「攻撃力」。そして、テーマは「相手の守備を破壊する」ことだ。どんな相手でも臆することなく攻撃を仕掛けて、相手の守備網を粉砕する。その象徴になっているのが、前線に君臨する強烈な3トップだ。真ん中に構えるのは、ジュビロ磐田加入内定のFW小川航基。U−18日本代表でもエースを張るストライカーは、チームの絶対的存在であることは間違いない。だが、その両翼のアタッカーを軽視してはならない。

 左FWの桑原孝太郎はスピーディーな仕掛けが武器で、密集地帯でもボールを持ってリズムを作ることができる。右FWのイサカ・ゼインはずば抜けた身体能力を誇り、瞬間的なスピードと抜群のボディーバランスを駆使し、切れ味鋭いドリブルで局面を打開することができる。

3トップの真骨頂は連係の良さ

右FWのイサカ・ゼイン(7番)ら両翼の選手がエースである小川をうまく生かしている 【安藤隆人】

 この3トップの真骨頂は連係の良さにある。中央で構える小川に接近したり、離れてプレーしたりするのは、両サイドの判断。「小川のポジションは常に見ている。あいつにマークが集中することは分かっているので、無理に使うのではなく、状態を見て自分で仕掛けたり、預けたりの判断をしています」とイサカ。両翼が徹底マークされる小川をうまく生かしている。

 春先から夏にかけては、3人が頻繁にポジションチェンジを繰り返していた。だが、「僕がゴールから遠ざかってしまうと、それだけ自分の持ち味であるゴールを奪うことから離れてしまうし、相手にとっても脅威じゃなくなって、逆に助けてしまう」と小川が語るように、エースのずば抜けた得点力を生かすべく、3トップの連係面で変化が生まれた。

「ゼインや孝太郎がサイドを突破したら、クロスに備えるようにするし、中に入って来たら、周りの状況や2人の体勢や意図を読み取って、相手DFをロックしてポストプレーをするか、裏へのスペースに抜け出すか判断をしています。彼らの良さは知っているので、瞬時に判断するようにしています」(小川)

 相手守備陣からしてみると、小川にマンマークや複数の選手を当てても、両サイドから個の打開力を持った選手が飛び込んでくる。しかも、ドリブルだけでなく、ワンタッチプレーやダイレクトプレーでの崩しもあるだけに、的は非常に絞りにくい。

「バルセロナのMSN(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)ではないですけれど、あの3トップの動きは参考にしています。MSNは3人だけで相手の守備網を打ち破っていく。僕らも3人で崩せるように、連係を高めています」(小川)

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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