「神様からの試練」乗り越えJC勝利 池添&パンドラ“鬼門”15番を制した

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秋華賞以来のGI2勝目

池添&ショウナンパンドラがジャパンカップ制覇、現役最強の座についた 【中原義史】

 日本トップホースと世界の強豪が激突するJRA秋の大一番、第35回GIジャパンカップが29日、東京競馬場2400メートル芝を舞台に争われ、池添謙一騎乗の4番人気ショウナンパンドラ(牝4=栗東・高野厩舎、父ディープインパクト)が優勝。中団追走から馬群の中を鮮やかに伸び、秋の芝チャンピオンの座を獲得した。良馬場の勝ちタイムは2分24秒7。

 勝ったショウナンパンドラは今回の勝利でJRA通算16戦5勝、重賞は2014年GI秋華賞、15年GIIオールカマーに続き3勝目。騎乗した池添、同馬を管理する高野友和調教師ともにジャパンカップ初勝利となった。

 なお、クビ差の2着にはライアン・ムーア騎乗の7番人気ラストインパクト(牡5=栗東・松田博厩舎)が入り、1番人気に指示されていた川田将雅騎乗のラブリーデイ(牡5=栗東・池江厩舎)はさらにクビ差の3着。また、横山典弘騎乗の2番人気ゴールドシップ(牡6=栗東・須貝厩舎)は10着に敗れた。

苦渋の天皇賞・秋と同じ15番枠

最後の伸び脚は4着に終わった天皇賞・秋のウップンを晴らすかのような鋭さだった 【中原義史】

 最後の最後、1完歩、また1完歩とゴール板目掛けて鋭さを増す末脚は、不完全燃焼に終わった天皇賞・秋のウップンをこれでもかと晴らしているかのようだった。

「前走の天皇賞・秋でも状態が良かったのに結果を出せなくて、言い訳になってしまうけど、外枠でいいポジションが取れずに惜しい競馬になってしまった。だから今回は絶対に結果を出す、僕がしっかり乗るだけ。それだけを考えて臨みました」(池添)

 外枠の不利を克服できず4着惜敗した天皇賞・秋。奇しくもこのジャパンカップも、その前走と同じ15番枠発走だった。

「競馬の神様に試されてるんだろうな、って思いましたね。今度はちゃんと乗れよと。だから同じミスはできないと思っていましたし、積極的にレースを進めていこうと思いました」

 自らが例えた“神様からの試練”。池添は満点の騎乗で乗り越えてみせた。道中はちょうど中団。ゴチャついた1コーナーで巻きこまれることもなく、「折り合いには不安のない馬。リズム良く走れていた」。また、この日の東京競馬場の芝の傾向から「伸びるのは内。外を回すことは考えていなかった」。2コーナーから向こう正面にかけて、外からインへとポジションをジワジワ移していく中で、目の前を行くラブリーデイの姿をキャッチ。絶好の目標もできた。

外から内へ、切り開いた勝利の道

外から内への進路にこだわった池添の好判断も見事だった(右はゲストプレゼンターの五郎丸、左はアガシ) 【中原義史】

 結果、この“外から内へ”の判断が、最後のクビ差という着差の明暗を分けたと言えるかもしれない。と言うのも、ライアン・ムーアが駆った2着ラストインパクトは最内を鋭く突っ込んできた。その前の第10レースでもムーアは最後方からあえて最内に突入して差し切り勝ちを決めており、この英国の名手は今日の府中はとにかくインが伸びるということが分かっていたのだろう。JCでも狙い通りのイン伸びだった。レース後、ムーアが「負けたけど何も言うことはないよ」と満足そうな表情を浮かべていたように、騎乗としては完ぺき。だが、池添とショウナンパンドラはそれを逆転してみせた。15番枠からの“最短距離”でもって――。

 もし、枠なりから外、外を回す安全策を取っていたとしたら、天皇賞・秋と同じように差し届かずに敗れていただろう。そして、6番枠のラストインパクトに対し「内・外の差が出た結果」と、これまた天皇賞・秋と同じ敗戦の弁を言うしかなかったかもしれない。しかし、プロのジョッキーとして毎回敗因を枠順に求めていいはずがない。「同じミスはできない。僕がしっかり乗るだけ」の言葉通り、天皇賞・秋敗戦を大きな糧に、今度はハッキリとビクトリーロードを切り開いて見せたのだ。

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