「期待しかない」ミッキークイーン 浜中が語る3歳二冠牝馬でのJC勝算

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M・デムーロとルメールの存在

秋華賞も鮮やかに戴冠、春から馬体も「ほんの少し」成長していた 【netkeiba.com】

 コアな競馬ファンならご存じだと思うが、浜中の現在のエージェントは、同時にミルコ・デムーロとクリストフ・ルメールのエージェントでもある。ふたりが入ってきたことによるフラストレーション──浜中は多くを口にしないが、それは想像に難くない。

「年々乗り馬の質も上がってきていると思いますし、だからこそ、もっと成績を出さなくてはという思いがあるなかで、ふたりが中央に入ってきて。自分が乗っていた馬がふたりに流れたり、ふたりはどんどん乗り馬が決まっていくなかで、自分はなかなか決まらなかったり。結果にしても、ふたりが順調に出しているなかで、自分は出せなかった。そういう局面に立たされたのは初めてだったので、やっぱりストレスは溜まりましたね」

 ただ、「すべては自分の実力不足」だと浜中は言う。

「誰がエージェントをしようが、状況は同じだったと思うんです。断じてエージェントのせいではないですし、僕以外のジョッキーも同じ気持ちを持っているかもしれない。ただ、それを言い出したら、負けを認めるようなもの。ふたりの存在に影響を受けているとしたら、自分の実力が足りないだけの話です。本当にそれだけの話。今はもう、至ってシンプルに考えています」

 そんなフラストレーションが溜まっていたなかでのオークスの勝利。「メンタル的に、あの1勝には救われました」と、当時を回顧する。

 秋はローズS2着から秋華賞へ。初戦のローズSは、8キロ増で迎えた。

「ひと夏を越して、ほんの少し(笑)、馬が大きくなっていました。何より、食いが安定したと聞いていたので、それが休養の一番の収穫だったんじゃないかと思います」

 冒頭で振り返った通り、浜中の好プレーと信頼関係が呼び込んだ秋華賞の勝利。馬の間を割ってくる姿には、オークス以上の底知れぬ強さを感じた。

いざJC「ゲートさえ普通に出てくれれば」

「ゲートさえ出てくれれば」と浜中、JCで一気に現役最強の座へと駆け上がるか 【netkeiba.com】

 さて、次走はいよいよ、初めてとなる牡馬一線級との対戦。改めて、ミッキークイーンの強味を聞いた。

「普段から、すごくおっとりしているんです。それはもう最初から変わりません。新馬戦のとき、返し馬で放馬した馬がいたんですけど、まったく動じませんでしたからね。2歳の牝馬で、これは珍しいタイプだなぁと思いました。多少ピリッとする瞬間はありますけど、レースでも常に平常心で走ってくれます。それは何よりの強味ですね」

 続けて「デビュー以来、こんなに安心感のある馬は初めてです」と、絶大な信頼をにじませた浜中。残る課題はゲートだけ──さすがにそこは、主戦も苦笑いだ。

「ゲートはねぇ、アレなんですけど(苦笑)。ただ、逆に言えば、課題は本当にゲートだけなんです。どんなに強い馬でも、折り合いに不安があるとか、脚質的に戦法が限定されるとか、ペースに左右されるとか、強さと脆さが同居している馬が多いと思うんですが、ミッキークイーンの場合、ゲート以外はまったく不安がないんですよ。

とにかく折り合いに不安がありませんから、道中は意のままに動いてくれますし、常に余力を残したまま直線を迎えられるのが本当に大きい。操縦性に優れている上に、根性もありますからね。力関係ばかりは未知ですが、こんなに安心して乗れる馬は、今までいなかったなぁって」

 と、まさに大絶賛といったところだが、浜中自身にも大きな強みがある。それは、ライバルたちの背中を知っていること。今年、日本勢の総大将といえるラブリーデイは、自らの手綱で天皇賞馬に導いた馬。同じく天皇賞で、外から鋭い脚で追い込んだショウナンパンドラ(4着)も、鞍上浜中で秋華賞馬となった馬である。

「ラブリーデイに騎乗したのは、皐月賞以来だったんですが、体がすごく分厚くなっていました。今年に入って連勝して、GIも勝ってきた馬なので、僕が知る頃よりよくなっているのは当たり前だと思っていましたが、それにしても全然違いましたね。気性的にも難しいところがあった馬ですが、そのあたりもだいぶ解消されていて。そもそも、京都大賞典の勝ちっぷりを見たときに、これは本物だなと思いました。競馬がすごく上手な馬なので、2400mという距離もこなしてくるんじゃないかと思っています。最大の敵は身内にアリですね(笑)。

 ショウナンパンドラの天皇賞も、強い競馬でしたねぇ。トレセンで見かけることがありますが、馬がすごくボリュームアップしたのを感じます。池添さんも『すごい走る』とおっしゃっていますし、ジャパンCでも怖い存在ですね」

 最後に勝算を問うと、開口一番「期待しかないです!」と、頼もしいひと言が飛び出した。自身も、秋華賞、天皇賞(秋)を制し、ここにきて完全に流れを引き寄せた感がある。

「重賞を10勝つより、GIをひとつ勝つほうが嬉しいですからね。春は確かにフラストレーションが溜まったシーズンでしたが、思えば1年でGIを3つ勝ったのは今年が初めて。この仕事には、やっぱり流れというものがあるんだなぁと、改めて実感しています。ミッキークイーン自体は至って順調ですし、なにしろ斤量が4キロ軽いのは大きいと思います。とにかくゲートさえ普通に出てくれれば……。そういった意味では、ゴールドシップの隣は嫌だなぁ(苦笑)」

 と、最後に本音をポロリ。浜中の言うように、力関係ばかりは未知。が、そこは「強い馬は、強い馬たちと戦ってこそ」と、戦闘姿勢を崩さない。人馬ともに、大きな強味を武器に挑む第35回ジャパンC。年度代表馬を賭けた大一番が、今、幕を開ける。

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