“秒殺女王”ロンダ・ラウジーが出陣! 豪州で7万人――史上最大の大会が開催
“秒殺女王”ロンダ・ラウジー 【Getty Images】
※文:稲垣收(WOWOW UFC解説者)
マイク・タイソンも絶賛するロンダの実力
さながら、総合格闘技界における“女マイク・タイソン”である。
柔道で北京五輪銅メダルの実力者で、総合の試合でも豪快な投げから、すぐさま腕ひしぎ十字固めを仕掛けて一本勝ちするのが必勝パターン。これまで9試合に腕十字で一本勝ちしている。だが、ボクシング二階級制覇のビック・ダルチニアンとスパーリングするなど、ボクシング特訓や、蹴りの向上にもたっぷり時間を割いている。
かつて“地上最強”を誇ったマイク・タイソンが今年、ロンダの所属ジムに練習を見に出かけたが、タイソンはロンダがミットを打つ様子を見て「ワーオ!」と驚嘆した。
ロンダは8月にブラジルで開催されたUFC190で“ブラジルの最恐女”ベチ・コヘイアにパンチを叩き込み、34秒でKOしたが、この試合を見たタイソンは、「全盛期の俺自身の試合みたいだ!」とツィートし、絶賛した。
メイウェザーのラストマッチを抜いたPPV件数
米国では、ボクシングやUFCのナンバーがつく大会は、その都度、視聴料を払って視聴するPPVという視聴方式が一般的だ。ボクシング界のスーパースター、フロイド・メイウェザーがアンドレ・ベルトを相手に9月に行った引退試合のPPV件数は50万件前後だが、ロンダのUFC190はそれをはるかに凌駕する契約件数だったのだ。今回は、それをさらに上回ることが見込まれている。
大会チケットも、前売り開始日に即日完売、観客動員数は7万人を超えると見られる。これは2011年に、カナダで行われたUFC129で、当時絶大な人気を誇った“カナダの英雄”ジョルジュ・サン・ピエール(GSP)が元ストライクフォース王者ジェイク・シールズを迎え撃った大会の5万5724人というUFC史上最多観客動員記録を大きく塗り替えるものだ。
今回の相手は元ボクシング世界王者ホリー・ホルム。
“総合格闘界で最も危険な打撃を持つ女”と呼ばれるホリーは、ロンダよりリーチも長い。もしロンダが、進化した己の打撃力を過信して打ち合えば、KO負けする危険もある。
もちろんホリー陣営としては、ロンダが組んで投げ、寝技に持ち込むことは想定しているはずだ。GSPや元ライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズら数々の王者を育てた名将グレッグ・ジャクソンとウィンクルジョンがホリーのコーチだから、対策は万全にしてくるはず。この“史上最大のイベント”で大番狂わせが起こる可能性もある。
K−1王者ハント、“KOマシン”ホールが参戦!
前回激しい戦いを繰り広げたハント(右)とシウバの再戦が行われる 【Getty Images】
また、今年9月のUFC日本大会で、元DREAM王者ゲガール・ムサシをバックスピン・キックと飛びヒザ蹴りでKOし、さいたまスーパーアリーナを震撼させた“戦慄のKOマシン”ユライア・ホールも参戦し、地元のヒーロー、ロバート・ウィティカーと対戦する。ホールは、またもとてつもない切れ味の技を見せてくれるのか?
さらに今大会では、女子ストロー級王者ヨアンナ・イェンジェイチックが、カナダのヴァレリー・レトゥルノーを相手に2度目の防衛戦を行う。
ポーランド人初のUFC王者ヨアンナは、K−1で4度王者に輝いたアーネスト・ホーストの弟子で、元キック世界王者。09年に来日し、J−Girlsキックの王座を奪取したこともある。
総合では、タックルを完全に防御して立ち技をキープし、強烈なパンチやキック、ヒジ打ちで相手を血まみれにしてKOするスタイルで、見る者に強烈なインパクトを与える。
メルボルンで行われるUFC193では、ロンダとヨアンナという2人の女子王者が史上最大のメガ・イベントで格闘技の歴史を変える!
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