21歳の際がドルトレヒトの主軸で活躍 成長の先に見据える五輪代表の夢

中田徹

5節以降レギュラーの座をつかむ

5節以降レギュラーの座をつかんだ際。ドルトレヒトは現在5勝2分け5敗で8位に位置している 【Getty Images Sport】

 ファン・デン・ハム監督のドルトレヒト復帰戦は第4節のNAC戦だったが、際は今季初めて出場機会を失った。しかし、この試合を0−7と大敗したことで、際に再びチャンスが回ってきた。第5節のオス戦(1−0)以降、際はずっとレギュラーとして出場し続けている。

「RKC戦(9節/1−0)は、チームで胃腸炎が流行って僕も薬を飲んでいた。前半が終わって監督が『1−0で勝っているし、次の試合に向けて休んでいいよ』と言ってくれて交代しました」

 2年前の苦い経験からすると、信じられないほどの信頼をファン・デン・ハム監督は際に寄せているのである。ある日、際はファン・デン・ハム監督に呼ばれて、「私が2年前、ドルトレヒトを率いていた頃と比べて、君はサプライズだ。良い選手になった」と言われたという。練習では「お前、中盤もできるかもしれないから」と言われて、MFのポジションも試されたという。

「練習では、走力を生かして欲しいということで6番(=セントラルMF)をやっていました。でも五輪のことを考えると、SBのポジションが一番良いですし、自分の長所を出しやすいポジションだと思っているので、今はSBで試合に出ることができてありがたいです」

「五輪代表に呼ばれてみたい」

 五輪は、サッカーの世界ではU−23世代の大会だから、アスリートにとっては一生に一度チャンスがあるかどうかの舞台である。ドルトレヒトのレギュラーの座をつかんだ際は、そのチャンスを黙々と狙っている。

「五輪は出る気満々です。代表に呼ばれるために何ができるかと言えば、僕を呼ばざるを得ない環境を自分で作ること。どこかのサッカーの雑誌の採点で、9節を終えた段階で僕がチーム内トップだったんです。アシストやゴールも必要。そういう目に見える結果と、『なんであいつを呼ばないんだ』と言わせる環境を自分で作ることが大事だと思っています」

 調べてみたが、その雑誌が何なのか分からなかった。仕方ないので『フットボール・インターナショナル』誌の採点をエクセルシートに入れて計算してみた。11節を終えたところで、際の採点は平均5.95とチーム内7位だった。しかし、エーフェルス監督時代は開幕から4.5、6、4と芳しくなかった採点は、ファン・デン・ハム就任以降、6から7の間で安定するようになった。この間の6試合だけで計算し直すと彼の採点平均は6.42(チーム内5位)と一気に跳ね上がる。この採点からも、ここ2カ月の際の成長がうかがえるだろう。

「昨季はヨリス・オーファーエーム(AZ)、セアン・クライベル(ユトレヒト)、リッキー・ファン・ハーレン(ディナモ・ブカレスト)がチームメートだったので、オランダ年代別代表がどのぐらいのレベルなのか感触をつかんだ。一度、五輪代表に呼ばれてみたい」

 そう、際は願っている。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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