ノア解散までのカウントは“残り1” 運命のリーグ戦、団体の未来はあるか!?

高木裕美

残す公式戦は1試合

「グローバル・リーグ戦2015」も鈴木軍の勢いは止まらず。このまま優勝を奪い、ノア解散へ追い込むのか!? 【スポーツナビ】

 プロレスリング・ノア「グローバル・リーグ戦2015」もいよいよクライマックス目前。3日のエディオンアリーナ大阪 第2競技場大会を終え、8日の東京・後楽園ホールでの優勝決定戦まで、あとは6日の新潟産業振興センターでの最終公式戦を残すのみとなった。

 今回のリーグ戦で、鈴木みのる、もしくは鈴木軍のメンバーの誰かが優勝すれば、ノアは解散。旗揚げ15周年記念大会となる12.23大田区総合体育館大会をもって、方舟は“沈没”する。

 ノアと鈴木軍の抗争のきっかけは、今年の新日本プロレス1.4東京ドーム大会。ノア副社長でもある丸藤正道がTMDKのシェイン・ヘイスト、マイキー・ニコルスを引き連れ、CHAOSの矢野通と合体。鈴木軍と8人タッグで対戦し、わずか5分で丸藤が完勝した。

 その6日後、ノアの新春初興行となった1.10後楽園大会で、新日本の小島聡を倒し、GHCヘビー級王座V6に成功したばかりの丸藤を鈴木軍が急襲。みのるは激闘を終えたばかりの丸藤をスリーパーで絞め落とすと、「どうせ沈みかかっている船。お宝を全部よこせ」と、ノア侵攻に乗り出した。

 3.15東京・有明コロシアムで行われたGHC4大タイトルマッチでは、鈴木軍が全タイトルを獲得。以後、10.4名古屋で原田大輔&小峠篤司組がGHCジュニアタッグ王座を取り返すまで、GHCタイトル戦線20連敗という、屈辱の歴史を積み上げてきた。

 現在もGHCヘビー級王座は鈴木みのる、GHCヘビータッグ王座はランス・アーチャー&デイビー・ボーイ・スミス・Jr.の「KES」、GHCジュニアヘビー級王座はタイチが保持しており、ノアにとっては、解散の危機を回避するだけではなく、「至宝奪回」も厳命となる。

 まずは「今そこにある危機」であるグローバル・リーグ戦での鈴木軍の優勝を阻止することが最優先。だが、状況は極めて厳しい。

“A級戦犯”丸藤は終盤に大失速

GHC王座を奪われた“A級戦犯”丸藤は、終盤にきて2連敗。暗雲が立ち込めている 【横田修平】

 現在、Aブロックは丸藤正道、杉浦貴、田中将斗、クリス・ヒーローの4選手が、4勝2敗の8点で並ぶ大混戦。新潟では、丸藤とヒーローが直接対決し、杉浦はデイビーボーイ・スミスJr.と、田中はランス・アーチャーとの最終公式戦に臨み、最高得点者が決勝へと進む。

 みのるにGHC王座を奪われた“A級戦犯”である丸藤は、「絶対優勝」の意気込みで、開幕戦で杉浦に勝利。このまま快進撃で一気に優勝かと思いきや、10.29新宿FACE大会で外敵の田中に初黒星をつけられ、大阪では新日本プロレスの小島聡にも敗北。まさかの大失速に、ファンからも厳しい目を向けられた。

 小島とは今年の1.10後楽園大会でGHCヘビー級王座を賭けて対戦。丸藤が勝利し、V6に成功した直後に鈴木軍の襲撃に遭い、抗争開始のきっかけとなった因縁のカードだ。

 丸藤は開始早々、打点の高いドロップキックで小島を場外へ落とすと、ラリアットをかわして鉄柱に誤爆させ、一気に右腕攻めへ。さらに小島のお株を奪うマシンガンチョップ&「いっちゃうぞバカヤロー!」で精神的揺さぶりをかける。10分過ぎには虎王&不知火も炸裂。すでに勝利を確信した次の瞬間、小島が虎王をラリアットでブロックし、そのままアゴまで打ち砕いて、3カウントをもぎ取ってしまった。

 勝利した小島は「せっかくノアのリングに上がったからには、たくさんのお客さんの前で試合をしたい。グローバルリーグ、いっちゃうぞバカヤロー!」とマイクアピール。ノアファンとしては、鈴木軍だけではなく、新日本本隊にまで侵略され、さらなるモヤモヤを残す結末となってしまった。

杉浦も2敗目 リーグ後に暗雲

 もう1人のノアの砦である杉浦貴も、大阪でKESのランス・アーチャーに完敗し、リーグ戦2連覇&みのるへのリベンジに赤信号が点滅。アーチャーの巨体を攻めあぐね、エプロンへのチョークスラム、テキサストルネードスラム、チョークスラム、ブラックアウトの猛攻を食らって3カウントを献上。必殺技のオリンピック予選スラムを完全に封じられ、新潟でのスミス戦にも暗雲が漂う。

 もし最終公式戦で丸藤、杉浦が敗れ、田中もしくはヒーローが決勝戦へ進むことになれば、もし解散は免れても、ノアに新たな危機が訪れるだろう。

みのるは宣言通りの負けなし

「リーグ戦でもタッグマッチでも、3カウントを取ったらベルトは返す」と挑発したみのるは全勝を守っている 【横田修平】

 一方、Bブロックでは、現GHCヘビー級王者である“王様”鈴木みのると、同じ鈴木軍のシェルトン・X・ベンジャミンが、共に5勝1分の11点で同点首位。優勝争いは新潟での最終公式戦に委ねられる結果となった。

 みのるとベンジャミンは大阪で対戦。ボスに対し、容赦なくチョップで迫るベンジャミンに対し、みのるもぶら下がり式腕十字固め、イス攻撃、ロープを使った卍固めなどを見せる。しかし、覚醒したベンジャミンは、場外でみのるをつかまえと、ジャイアントスイングのように振り回して鉄柵にぶつけ、みのるは場外カウント19で何とかリングイン。その後もアンクルホールド、ペイダートを繰り出し、みのるが立てなくなるほどのダメージを与える。ベンジャミンが中指を立てれば、みのるも顔面にツバを吐き捨てて応戦。残り30秒、ついにみのるのゴッチ式パイルドライバーが火を噴くが、カバーに入れず、ここで時間切れ引き分けのゴングが打ち鳴らされた。

 新潟では、みのるは同じ鈴木軍で、唯一の全敗である飯塚高史と対戦。一方、ベンジャミンは中嶋勝彦との一戦を迎える。どちらが決勝へ進むとしても、ノアにとっては解散までのカウントダウン“1”を残すのみとなる。
「リーグ戦でもタッグマッチでも、オレから3カウントを取ったらベルトは返してやる」と大胆すぎる宣言でノアを挑発し、ここまで負けなしで走り続けてきたみのるの決意と強さは本物だ。

 その“王様”にたどり着く前に、すでに土にまみれてしまったノア勢が、11.8後楽園の決勝戦で、鈴木軍をひざまずかせ、解散の危機を乗り越えることができるのか。それとも、“カウント0”となり、ついに自爆スイッチを押す時がやって来てしまうのか。運命の時は、もはやそこまで近づいている。

得点状況(11月3日終了時点)

【Aブロック】
丸藤正道 8点 (4勝2敗) (残りクリス・ヒーロー戦)
杉浦貴 8点 (4勝2敗) (残りデイビーボーイ・スミスJr.戦)
田中将斗 8点 (4勝2敗) (残りランス・アーチャー戦)
クリス・ヒーロー 8点 (4勝2敗) (残り丸藤正道戦)
----以下リーグ戦脱落------------------------------
小島聡 6点(3勝3敗)
デイビー・ボーイ・スミス・Jr. 4点(2勝4敗)
ランス・アーチャー 4点(2勝4敗)
クワイエット・ストーム 2点 (1勝5敗)

【Bブロック】
鈴木みのる 11点(5勝1分) (残り飯塚高史戦)
シェルトン・X・ベンジャミン 11点(5勝1分) (残り中嶋勝彦戦)
-----以下リーグ戦脱落-----------------------------
中嶋勝彦 8点 (4勝2敗)
マイバッハ谷口 6点 (3勝3敗)
コルト・カバナ 6点 (3勝3敗)
モハメド・ヨネ 4点 (2勝4敗)
北宮光洋 2点 (1勝5敗)
飯塚高史 0点 (6敗)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント