車いすラグビー、日本が躍進した理由 個のレベルアップが生んだチーム力
最大のライバル下し初V
車いすラグビーのアジア・オセアニア選手権で、日本は初優勝。強さを支えたものとは? 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
10月29日〜11月1日、千葉ポートアリーナでウィルチェアーラグビーのIWRFアジア・オセアニア選手権が開催された。4カ国が集まり、2回の総当たりで予選リーグを戦い、その順位によって決勝戦、3位決定戦が行われる。この大会で、日本はロンドンパラリンピック覇者のオーストラリアを56対51で下し初優勝。リオデジャネイロパラリンピックの出場権を獲得した。
オーストラリアは、米国、カナダとともに世界のトップ3を形成してきた。ロンドンパラリンピックでの金メダルの後、2014年の世界選手権でも優勝し、すでにリオパラリンピックの出場権を獲得している。日本は、ロンドンパラリンピックで4位、世界選手権でも4位。アジア・オセアニア選手権常勝国であるオーストラリアを最大のライバルとして、これを打ち砕くべく、強化を進めてきたのだ。
カナダ人コーチを招聘、戦術の基礎を磨く
金メダルを首にかけ、笑顔で記念写真に収まった 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
コートに入るメンバー構成をどうするか。それは、もっともベーシックで重要な戦術の一つである。
今大会、予選リーグの1回戦、そして決勝のオーストラリア戦を戦い抜いたメインメンバーは、池崎大輔(3.0)、池透暢(3.0)、今井友明(1.0)、若山英史(1.0)の“ハイローライン”。途中で、池に代わり、島川慎一(3.0)が出場したが、終始、ハイポインター2人とローポインター2人によるハイローラインでオーストラリアと激突した。
日本は、ロンドンパラリンピック以降、カナダの元ナショナルチームコーチであるアダム・フロスト氏を招聘し、2年間みっちり戦術の基礎を習得してきた。フロスト氏が手がけたのが、日本のハイローライン(=障害の重い選手と軽い選手の組み合わせ)を構築することだった。
スピードとパワーが武器で世界屈指のハイポインターとして活躍する池崎と、ロンドンパラリンピック以降新戦力として加わった高さのある池。この2人に爆発的な力を発揮させるためには、優れたローポインターの力が必要となる。