新潟記念はハイレベル3歳馬に熱視線! 「負けたらクビ」になっちゃう騎手とは…

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 夏競馬もフィナーレとなる今週日曜は、新潟記念と小倉2歳ステークスが行われる。この夏の総決算となる重賞を、東西のTM陣が熱いバトルとともに斬る!

3歳馬2頭で人気は二分? 新潟記念

有力3歳馬の1頭ミュゼスルタンは新潟コース2戦2勝(手前、撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「まずは新潟記念だが、サマー2000シリーズの最終戦なんだけれども、ポイント上位の馬の参戦がないので、すでに優勝はダービーフィズに決まってるというシラけムード。ただ、そんな興味が薄れても、今年は3歳馬の参戦もあって面白いメンバー構成になったな」

庄司「その3歳勢は、NHKマイルカップの3着、4着馬ですが、そこで6着だったヤングマンパワーが関屋記念で少差の3着、13着だったヤマカツエースも函館記念と札幌記念で連続好走したことを考えれば、今年の3歳馬のレベルは相当高いと見ていいはずです。当然、ここでも、ミュゼスルタンアヴニールマルシェが有力と言えるでしょうね」

武井「その2頭の比較では、やはり対戦成績で2戦2勝のミュゼスルタンを上と見るのが自然でしょう。成長期に膝の骨折という重大な故障をしながら、NHKマイルカップでも最速の上がりをマークしたんですから、素質の高さだけなら世代屈指の存在だと思います。そう考えれば、54キロのハンデも恵まれたと言えるんじゃないでしょうか」

大江原「6着だったダービーにしたって、1・2着馬が好位グループで流れに乗っていたのに対して、この馬は直線に向くまでブービーの位置取りで、しかも大外を回るロス。競馬に参加できたのは正味3ハロンだったんだからな。むしろ褒めていい内容だよ。1600〜2000mが最も力を発揮できる距離だろうし、放牧に出さなかったとはいえ、暑い時期に札幌、函館の涼しい厩舎で調整されてきたから、態勢も整っているぞ」

小島「厩舎で調整してきたということに、ここに賭ける強い思いを感じますよね。秋はマイルか中距離か、どちらを歩むにしても、古馬相手のGIに臨むには賞金加算が絶対条件ですし、2戦2勝の新潟で決めてくれるはずですよ」

清野「ただ、アヴニールマルシェも、リフレッシュ効果と成長が見込めますし、実際にしっかりと乗り込まれて仕上がりはこちらの方が上のような気がします。対ミュゼスルタンは2戦2敗とはいえ、1キロのハンデ差と仕上がりの差で逆転に期待したいですね」

守屋「2戦2敗といっても、ともに僅差。NHKマイルカップなんかも、上がりは同じ数字ですし、出遅れがなければどう転んでいたかわからないはずです」

小野智「今年に入っての2走は、北村宏騎手に状態を聞いても首をかしげる仕草をしていたんですが、今回は久々に“デキOK”と。“現時点で10キロくらい馬体が増えているけど、これはそっくり成長分”だとも言ってました。初距離の2000mについても“出て行かないのがネックだけど、新潟2000mなら向正のうちに位置も取れそう”と、前向きでしたよ」

伊利「僕も陣営から同じような話を聞いています。夏を越して背丈が伸び、体がガシッとしたようですし、“仮にNHKマイルカップのように出遅れたとしても、この条件なら馬群に取り付きやすい”と、距離延長も意に介していない様子です」

3歳馬には負けられない古馬の猛者たち

デスク「対する古馬勢だって、けっしてレベルが低いわけではないよな」

久光マジェスティハーツは、この2000mの距離であれば、宝塚記念を勝ったラブリーデイに迫った鳴尾記念2着を評価すべきですね。前走の関屋記念にしても、速い上がりを差し込んだ好内容ですし、荒れてきた最終週の馬場の方がより向いている馬なので、舞台は整ったと見ます」

福田「前走は、ハミを換えた効果に加えて鞍上の好騎乗も大きかったで。ペースが遅いのはわかっていたんやが、持ち味を引き出すためにジックリと運んだとのことや。サマーマイルのタイトルもかかる京成杯オータムハンデの選択肢も当然あったようやけど、回復も早かったことと、スムーズな左回りちゅうことで、もう一発あっていいやろ」

坂倉「近走の成績が示すように、アルフレードは完全にスランプ脱出と見ていいですよね。この新潟外回りでは、2戦して1・3着ですが、特に3着だった春の新潟大賞典は、馬場の悪い内目を通っての上がり最速で、高く評価できるものですよ」

西田「前走は小回りの福島が合わなかっただけですし、実績のなかった2000mにメドが立ちましたからね。一週前の追い切りでは、アジアエクスプレスをアオってデキの良さをアピールしていましたから、私もGI馬の底力に賭けてみたいです」

大江原「確かに近走では一番いい状態に仕上がっているよ。今まで無理使いをしてこなかったことが、ようやく実を結びつつあるな」

守屋「ただ、僕はアルフレードは本質マイラーだと思うんですよね。ヴァンセンヌを外から強襲した東京新聞杯が、それを物語っているかと……。個人的には来週の京成杯で狙いたかったですね」

佐藤直「休み明けとトップハンデが嫌われているようだけど、俺は同じ舞台の前走でもトップハンデで快勝したダコールを素直に信頼するぞ。58キロの斤量も克服済みだし、鉄砲実績も十分あるからな」

福田「前走後は陣営も早くからここを目標にしてたんやし、直前もテンからハードに追われて態勢は整った様子やで。中竹師も“ハンデは問題ない。道悪はダメだけど、良馬場なら好勝負”と言うてるし、鞍上は小倉2歳ステークスのシュウジを断って乗りに来るんやさかい、気がある証拠やろ」

守屋「でも、このレース自体、トップハンデの馬がほとんど来ないイメージが強いことも確かですよね」

伊利「僕は初の重賞挑戦でも、メドウラークを狙ってみます。一週前追い切りで坂路の自己ベストを更新する51秒8をマークしたように、4連勝中の勢いは本物。3戦2勝、2着1回の左回りで、ハンデも55キロなら重賞でも通用していいはずです」

加茂「この4連勝は全て違うコースと騎手やったけど、乗ったジョッキーが揃って素質と乗り味を絶賛。特に、今回も手綱を取る田中勝騎手は、これまたお手馬のスイートサルサを断ったほどの惚れ込みようと聞いてます。橋田師も“重賞で甘くはないがどれだけやれるか楽しみはある”と、控えめながら期待を覗かせてますわ」

小野智「勝春騎手に直撃してみましたが“前走で能力の高さはわかったし、これからGIでも活躍できると思う。今回負けたらクビになっちゃうから、何とか勝ちたいんだ”って、ニッコリ笑ってましたよ」

守屋「あの、たびたびチャチャを入れるようで申し訳ないんですが、メドウラークの4連勝がいずれも相手や頭数に恵まれた感も否めないんですよね。前走にしてもオープンからの降級4歳馬が2頭だけと、けっしてレベルは高くないと思うんですが」

デスク「いいぞ守屋、チャチャはどんどん入れてくれ。で、あとは穴馬披露の時間かな」

佐藤直「正直言って、今年は例年以上に“何でもアリ”の様相だと思うんだが、コース実績があって上昇気配、しかもハンデが手頃なロンギングダンサーに注目したいな」

清野「私は、外回りとはいえ、展開利の見込めるマイネルミラノが気になってます」

小島「さすがは清野さん、目の付け所がイイですね。前走はハナへ行きたい馬にとって最悪の大外枠でしたし、前半1000mのラップが58秒台ではバテて当たり前です。今回は人気も落としますし、マークが緩くなる点は怖いですよ。って、僕は無印ですがね」

瀬古クランモンタナの前走は、展開に乗じた感も否めませんが、ここは昨年2着のレースですからね。ただ、以前よりもズブくなっているので、無理せず好位を進んだ昨年と同じ運びができるかどうか。雨で馬場が渋って上がりを要す競馬になればチャンスはあるかもしれませんが」

広田「同じ新潟2000mで新潟大賞典を勝ったのがもう2年前となるパッションダンスやけど、最内枠でリズム良く走ることができなかった前走が“それでもコンマ4秒差なら悪くない”というのが友道師の判断なんや。ベストの舞台に替わって、デムーロ騎手なら、怖いんとちゃいます?」

デスク「さて、最後はまたも◎を打ち間違えた編集長に締めてもらおうか」

上田「だから、間違えたわけじゃないんだってば……。最初にデスクが言ってたように、すでにサマー2000王者が決まっている状況で、重賞路線を歩んできた馬に魅力を感じないんだよ。まぁ、今年の場合は上り馬に注目すべきかなと思って、メドウラークも◎候補だったんだけど、どうせなら人気の無い方、ユキノサムライに帰着したわけなんだ。前走は楽に行かせてもらっての逃げ切り、と見る向きもあるけど、付いて行った馬が失速しているからね。恵まれただけではない気もするんだ。勢いと軽ハンデで、もう一丁に期待するよ」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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