女子バスケ代表、リオ五輪出場への道筋 最大のライバル中国撃破へ好発進

小永吉陽子

たった1枚の切符をかけた熾烈な争い

リオ五輪予選を兼ねた女子アジア選手権の初戦で、ライバル韓国を相手に勝利を収めた日本女子代表 【小永吉陽子】

 バスケットボール女子日本代表のリオデジャネイロ五輪予選を兼ねた女子アジア選手権が、29日より中国・武漢で開催されている。予選ラウンドもいよいよ山場に差し掛かり、ライバル国の陣容も見えてきた。バスケットボールの五輪出場権は12カ国で、各大陸予選を勝ち抜いて切符を勝ち取るのは優勝チームのみ。アジア予選2位・3位の国は来年の世界最終予選に回る過酷な争いが、完全アウェーの敵地で繰り広げられている。

 大会方式はレベルIに属する日本、中国、韓国、チャイニーズ・タイペイ、インド、タイの6カ国が総当たりの予選ラウンドを行い、上位4チームが準決勝以降へと駒を進めるシステム。現在のアジアの力関係は、日本、中国、韓国の“3強”であり、準決勝は予選1位と4位、2位と3位の顔合わせとなるため、予選ラウンドの順位も重要な要素となる。上位国が再び準決勝以降で激突するのが難しさでもあり、その駆け引きが独特の面白さを生んでいるのがこのアジア選手権だ。

 日本は2年前のアジア選手権で機動力を生かした攻防で43年ぶりとなる優勝を果たした。走れて跳べる運動能力を持つ日本のエース、渡嘉敷来夢(192センチ/シアトル・ストーム)を止められる国はなく、文句なしのMVPを獲得。渡嘉敷はこの自信によって世界最高峰リーグと呼ばれるWNBA入りを決意し、今年6月の渡米に至っている。また大会ベスト5を受賞した司令塔の吉田亜沙美とインサイドで体を張る間宮佑圭(共にJX−ENEOSサンフラワーズ)にしてもアジア制覇をした自信がみなぎり、「絶対にオリンピックに出る」と宣言している。

 だが、昨年の世界選手権では武器である機動力を出せないままに予選ラウンドで3連敗を喫したことにより、今回は「今まで以上にトランジション(攻守の切り替え)を速くして勢いを出す」(内海知秀ヘッドコーチ)方針のもとでメンバーを再構築している。本川紗奈生(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)、町田瑠唯、篠崎澪(共に富士通レッドウェーブ)ら若くて脚力のある選手の加入はまさしく勢いの象徴。特に、本川はこれまでの日本にはいなかったスラッシャータイプのシューティングガードであり、代表選出1年目にしてスタメンの座までゲットした。

 アジアチャンピオンの意地と若手の勢い、渡嘉敷のWNBAでの経験を加えて敵地に乗り込むのが、リオに向けた日本の戦い方だ。

硬さがあったライバル韓国との大会初戦

「初戦の緊張からか、みんな硬くなってしまった」と韓国戦を振り返った吉田 【小永吉陽子】

 今大会の最大のターゲットは中国だ。世代交代をしたばかりの2年前は若さを露呈していたが、昨年の世界選手権では6位に躍進し、成長の階段を猛烈な勢いで上っている。その中国とは9月1日に対戦を迎えるが、その前に、もうひとつのライバルである韓国と初戦で当たる難しい組み合わせから大会がスタートしている。

 韓国は長年なかなか勝てなかったライバルであるが、世代交代が遅れたことでスタミナ面では日本が勝り、FIBA主催大会では2012年から3連勝している。だが、「初戦の緊張からか、みんな硬くなってしまった」(吉田)入り方となり、出足で0−7とビハインドを負う苦しい展開になった。しかし経験値では日本の方が一枚上。前半は高田真希(デンソー アイリス)、後半は間宮らインサイド陣がシュートを決め、悪い中でも立て直せる地力の差によって、59−53で重要な初戦を手にした。

 大会2日目には注目の中国と韓国の対決が行われ、高さとパワフルな攻撃で勝る中国が74−58で勝利を収めた。やはり、今回は日本と中国の一騎打ちとなることが予想される。

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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