V8王者・山中がバンタム級頂上決戦へ=9月のボクシング見どころ
世界王座12度防衛のモレノと対戦
WBC世界バンタム級王者・山中慎介が最強挑戦者アンセルモ・モレノを迎えて9度目の防衛戦。“神の左”を難攻不落のモレノに炸裂させるか!? 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
山中と同じサウスポーのモレノは一言で言えば、やりづらい選手。思いきり半身に構えて懐の深さをつくり、上体の柔らかさとステップワークでパンチをかわす。対戦相手の良さを発揮させないうまさが特長だ。まず打たせないことが前提にあるモレノの攻めはリアクションが主体。相手のパンチをかわして、打ち終わりを狙う。当て勘も良く、嫌な角度から放たれるアッパーは脅威だが、決して深追いはせず、クリンチも駆使して、相手の攻め手を封じる。「強いというよりはやりにくいという言い方が正しい。正直、空回りさせられるのではないか、という不安もある」と山中は警戒する。
攻撃力の山中vs.難攻不落のモレノ
最悪のシナリオは、なかなかパンチが当たらないことで手が出せなくなり、ずるずるラウンドを重ねること。ガードの上からだろうと身体の一部分だろうと構わずパンチを出し続けて強打を印象づけ、心理面で揺さぶりをかけるのも有効だろう。「今まで以上に右、フェイントを使って、間合いや角度を変えた攻めを考えないといけない」と大和心トレーナー。出し惜しみせずに次から次と引き出しを開けなければならない難敵だけに、これまでにない山中の全貌が明らかにされるかもしれない、という楽しみもある。「まずはしっかりと結果を出すことに集中するが、KOは意識している。最後は左で決められれば」と“ゴッド・レフト(神の左)”は意気込む。一級のディフェンス力を備える難攻不落のモレノを一級の攻撃力を備える山中が攻め落とせるか。見どころはその一点に絞られる。