バルサ、レアルが苦しんだリーガ開幕節 これまでとはひと味違ったシーズンに!?

選手層が薄いバルセロナ

バルセロナはスアレス(写真)のゴールで辛くも勝利を収めた 【写真:ロイター/アフロ】

 スペインフットボール界の夏休みが終わりを迎え、リーガ・エスパニョーラのある週末が帰ってきた。

 選手層が薄過ぎるバルセロナ、珍しくゴール不足が続いているレアル・マドリー、そして大物選手を補強したものの、現時点では昨季と比べて大きな変化が見られないアトレティコ・マドリー。それが一時的なものなのか、今季の傾向を示しているかどうかを判断するには、もう少し時間の経過を待つ必要がある。いずれにせよロースコアの試合が目立った先週末の第1節では、現時点における各チームの状態をある程度は見てとれることができた。

 バルセロナは毎度苦戦を強いられるサンマメスでアスレティック・ビルバオを破り、開幕戦を白星で飾った(1−0)。だが、14日に行われたスーペルコパ・デ・エスパーニャにて、同じピッチで同じ相手に0−4と大敗したこともまた事実である。

 スーペルコパ敗戦の記憶が新しいこの試合でもバルセロナは大苦戦を強いられながら、ルイス・スアレスのゴールに救われ勝ち点3を手にした。だがリオネル・メッシがPKを失敗し(この試合でゴルカ・イライソスはメッシとクリスティアーノ・ロナウドのPKを止めた数少ないGKの一人となった)、ダニエウ・アウベスとセルヒオ・ブスケッツが負傷退場するなど、今後に向けた不安要素も少なからず残している。

 この試合後、ルイス・エンリケは「ハイレベルなプレーができた」と言っていたが、われわれが目にしたプレーは全く逆のものだった。接戦をものにする勝者のメンタリティーこそ見せたものの、シャビ・エルナンデス、ペドロ・ロドリゲス、マルティン・モントーヤらの放出によってベンチが手薄になった今季のチームには、先発メンバーと同レベルのパフォーマンスを保証できるバックアッパーがいない。そのためアレイクス・ビダルやアルダ・トゥランら新戦力の登録が解禁となる1月までは、何としてでも現有戦力で戦い続けなければならない。

ベンゼマ不在の攻撃は機能せず

敵地に乗り込んだレアル・マドリーはスコアレスドロー。C・ロナウドも悔しさをあらわにする 【写真:ロイター/アフロ】

 昨季の上位陣の中で唯一監督を交代したレアル・マドリーでは、ラファエル・ベニテス新監督がルイス・エンリケと同様に、チームの問題点に目を背けるかのような言動を繰り返している。プレシーズンマッチを含めた今夏の9試合のうち、実に5試合が無得点という異常事態を地元メディアが盛んに指摘している傍らで、彼の口から聞かれるのは根拠のない選手たちへの賞賛ばかりなのだ。

 カリム・ベンゼマが不在だったスポルティング・ヒホンとの開幕戦(0−0)では、トップ下に起用されたガレス・ベイルが中央からサイドに流れるプレーを繰り返す一方で、左サイドのクリスティアーノ・ロナウドと1トップのヘセ・ロドリゲスがプレースペースを奪われるシーンが相次いだ。その結果、レアル・マドリーは高いボールポゼッションを保ちながら相手の分厚い守備ブロックを崩しきれず、多くの攻撃が遠目からのシュートで終わっていた。この試合を見る限り、ベイルのポジションチェンジがチームに良い効果をもたらしているとは言い難い。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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