スタッツでテニス観戦の楽しみ方は倍増 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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勝負強さや自信のあるなしが数字に

ロジャーズ・カップ3回戦で錦織圭はダビド・ゴフィンと対戦し、2−0で完勝。錦織のファーストサーブの確率は37/61と約60.1パーセントだった 【Photo by Minas Panagiotakis/Getty Images】

 今回は、テレビのテニス中継でおなじみの「スタッツ」について書いてみます。

 スタッツとは、ポイント間あるいはゲームやセットの節目ごとに画面に映し出される統計数字のこと。ここに注目すると、試合観戦がもっと興味深いものになると思います。

 テレビで紹介される機会の多いスタッツは、サービスゲームのキープにつながる「ファーストサーブの確率」でしょう。そのほかに私は「ウィナー」と「アンフォーストエラー」にも注目します。
 アンフォーストエラーは自分から犯したミスのことで、「凡ミス」と表現されることもあります。これに対して「フォーストエラー」は「強いられた」ミスで、相手がナイスショットだからミスをしてしまったという場合はここに分類されます。ただし、これはテレビ画面に出てくることは多くありません。

 なぜ、ウィナーとアンフォーストエラーに注目するかというと、この2つの数字で試合の大体の流れが−−どちらが押しているかというのがわかるからです。

 例えば、ウィナーがアンフォーストエラーを大きく上回っていれば、その選手は質の高い試合をしていることがわかります。ウィナーが多いのはその選手が攻撃的にいっているからで、その分、ミスも多くなっていたとしても、この選手主導の試合だなというのがあらわに数字に出てきます。

 もう少し細かく見ていくと「ファースト(もしくはセカンド)サーブが入った時の得点確率」も注目すべきスタッツです。
 例えば「セカンドサーブになったときに全然ポイントが取れていない」などというのが読みとれます。
 あとは「ブレークポイントの回数」と「ブレークに成功した回数」(またはそのパーセンテージ)ですね。「たくさんのチャンスが訪れているけれどなかなかブレークできていない」とか、逆に「ワンチャンスをものにした」というように、その選手の勝負強さや自信のあるなしが数字に表れます。

見ていなくてもわかる試合内容

 私がスタッツを見るのは、自分の見た印象との差を確認するためでもあるのですが、結構、印象と数字が一致していることが多いですね。

 ちなみに、スタッツは担当者が各コートにいて、その場で入力をしています。例えばフォーストエラーとアンフォーストエラーの区別もその人の判断なので、多少は主観も入ってきます。ですから、例えばフォーストエラーぎみのものをアンフォーストエラーに含める人だと、あとでスタッツを見て「そこまでアンフォーストエラーが多くないのにな」と感じることがあるかもしれません。

 テレビ画面を見ていてスタッツが出ると、スマートフォンで写真に撮ることもあります。そうしないとすぐに消えてしまうので……。そうして数字で見ると試合内容が一目瞭然なのです。スタッツを見ていれば、試合を見ていなくてもどんな試合かわかると言ってもいいくらいです。

 最近ではサーブなどのコースの打ち分けもよくテレビで紹介されますね。ワイドが多いとかボディが多いとか、相手のバックハンドを狙っているというのが画像で示されます。
 選手時代には、こういうデータを相手の研究に使うこともありました。例えばコースの打ち分けにはその選手の癖も出るし、もちろん相手によって変えてくることも多いのですが、データを入手すると実際の対戦をイメージしやすかったのです。

 今になって、もっと自分の試合のスタッツを見て参考にすればよかったなとも思います。まあ、現役時代にはスタッツの大切さもなかなか見えてこなかったのですが……。今は自分の試合もデータとして全部残されていて、それがアプリでも簡単に見られるので、すごくいい時代だと思いますね。

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