“挑戦者”敦賀気比が挑む春夏連覇 活力になった優勝からの「切り替え」
センバツ後も貫いた普段通りのスタンス
1日には甲子園見学に臨んだ敦賀気比ナイン。春夏連覇へ向けて浮かれた様子は見られない 【写真は共同】
今春はエース平沼翔太が全5試合を完投し、松本哲幣が準決勝で2打席連続満塁ホームラン、決勝戦は試合を決める2ランを放つなど力と勢いが融合し、あまりにもドラマチックな幕切れとなった。
敦賀への帰郷後は、とにかくチームは注目の的だった。決勝の翌日に学校に凱旋(がいせん)した際は、多くの地元のファンに出迎えられ、直後に行われた大会でも球場のスタンドは常に多くの観客が詰め掛けた。ある程度覚悟していたとはいえ、想像以上の状況に選手たちは戸惑いを隠せなかった。それでもチームは休む間もなく練習を開始。あいさつ回りや表敬訪問の合間にも、練習をしっかりこなし、普段通りのスタンスを貫いてきた。
目に見えないプレッシャー
「投げても抑えて当然、試合をしても勝って当然という目で見られる。精神的にキツかった」
実は当時、センバツからまだ1カ月ということもあり、平沼はほとんど投げ込みをしないまま登板していたのだ。初回こそ3者凡退に抑えていたものの、4回以降は走者を背負いながらの苦しいピッチング。完投はしたが、終盤には四死球でピンチを招いてタイムリーを許し、追い上げられた試合だった。センバツで見せた自分とは程遠い内容だったが、スタンドはそんなことは知る由もない。「どうしてこんな接戦なの?」という空気が、球場内には漂っていた。王者ならではの宿命と言えばそれまでだが、目に見えないプレッシャーが選手たちの背中にのしかかっていたのは確かだ。