東海大相模・小笠原に見た大器の片りん 荒木大輔氏「素材は間違いない」
右腕・吉田とともにチームを引っ張る小笠原。甲子園ではどのような投球を見せるか ? 【写真=BBM】
自分で課題に気づき修正できる左腕
その立ち上がりに注目していたが、フォームが気になった。体全体を使えていないのだ。簡単に説明すると、投げ終わった際に軸足(左)が前へ出てこない。つまり、体重がうまく乗らず、上半身主導となっていたのだ。もう一歩、押し込めない影響から、右打者の内角に狙ったボールがやや内に入ってしまう。また、左打者にはボールが抜けてしまい、死球を与える場面も見られた。
ところが、5回を境に人が変わった。ネット裏のスカウトのスピードガンによれば、最速147キロと、良いボールを投げていた。東海大相模高・門馬敬治監督は試合後に「見ている人が見れば分かると思いますが、(小笠原は)自分でコントロールしていた。ゲームの中で修正できたのは収穫」と明かしている。つまり、相手を見て投げていたのだ。本人も「右打者の内角に投げ切れなかったことが反省。ボール1個、中に入っていた」と、試合中から課題に気づいていたという。
変化球とクロスファイアーを磨いてレベルアップを
7月21日に行われた神奈川大会4回戦の藤嶺藤沢高戦を取材した荒木氏 【写真=BBM】
7回無失点(試合はコールド勝ち)のこの日は12奪三振と、結果的に相手を圧倒したものの、プロで即通用するかと言えば、そう簡単な世界ではない。高校生レベルでは、回転の良いストレートで空振りを取れるが、変化球の精度を高める必要がある。桐光学園高時代の松井裕樹(現東北楽天)のような決め球はないのが現状。カーブで確実にカウントを取れるようになれば、投球の幅は広がる。スライダー、チェンジアップ、ツーシームを投げていたが、やや腕の振りが緩んでいた。これは、日ごろからの投げ込みによって解消される分野だ。
あとは、本人も課題として口にしていたように、左投手の特性であるクロスファイアーを磨いてほしい。東京ヤクルトで指導した赤川克紀、日高亮(現・福岡ソフトバンク)もそうだったが、この意識を植え付けることで投球は劇的に変わる。マウンドでの立ち居振る舞いも堂々としており、素材は間違いない。獲得した球団は体作りと並行し、2軍戦で週1回の先発登板機会を重ねることで、レベルアップを図らせたい。
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