インテルで愛される選手となって―― 長友佑都×城福浩 初の師弟対談<後編>

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インテルで活躍を見せている長友は、いまでも恩師である城福監督と連絡を取り合い意見を交わしていると言う 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 左サイドを豊富な運動量で上下動し、攻守に渡って顔を出しながらチャンスと見るやライン際を猛スピードで駆け上がって決定的なチャンスを創出する。インテルや日本代表の左サイドで活躍する長友佑都のプレーは今や当たり前の光景となった。しかし、プロ1年目でFC東京に加入するまでの長友は「左サイドバックなんかやったことがなかった」と言う。そのプレースタイルを確立したのが、当時監督を務めていた城福浩。FC東京の右サイドには徳永悠平という絶対的な存在がいたことから「佑都を左サイドで日本代表へ」と考え、左足の技術を基礎から磨き上げた。

 そんな師弟関係は長友がFC東京を離れてからも続いていた。「佑都といろいろな会話をすることは日本にとってプラスになる」と話す城福は、常に長友の動向を気にかけ、ここぞというタイミングでアドバイスを送り続けていた。

 対談後編では、長友がイタリアでプレーするようになってからの二人の関係性を中心に話を聞かせてもらった。お互いがそれぞれの道を歩む中、どのような会話が交わされ、かつての恩師は遠く離れた地で戦う教え子をどのように見つめているのか。そこには、お互いをリスペクトし、刺激し合い、高め合う、唯一無二の距離感が存在していた。

恩師が見つめる海外での成長ぶり

城福は長友の成長ぶりを「落ち着きが出ている」と表現した 【スポーツナビ】

――かつてFC東京で指導していた長友選手が、チェゼーナ、インテルとセリエAを渡り歩く姿をどのように見ていますか?

城福 技術的にうまくなったというか、落ち着きが出ている。慌てないよね。間合いをちょっと詰められても、(ボールを)はたいて出ていけばいいっていう余裕がある。もちろん周りがうまいのもあるとは思うけれど。まったくバタバタしない理由は、左右で蹴れるっていうのと、この間合いだったら世界のどんな相手でもやれる、というのがあるからだと思います。フィードがうまくなったとは言わないけれど、ボールを持った時の落ち着きはプロになったばかりの当時とは格段に違いますね。

 それこそ僕らが理解できない程のプレッシャーの中でプレーをしていて、ユベントスとのナショナルダービーで腕章(キャプテンマーク)を巻いて出場するくらいですからね。ミラノダービーを生で観たけれど、8万人の中で試合に出ることを経験して、ワールドカップ(W杯)の最終予選、W杯と経験したら、それはやっぱり慌てる度合いは相当少なくなっていきますよね。技術的にはこの歳でうまくはならないけれど、落ち着き具合は段違い。「あぁ、佑都この場面でも落ち着いているんだ」って見ています。内心は分からないけれど、ボールを持っている立ち姿が全然違うよ。

長友 でも、本当にそうなんですよね。プロに入ったときは少しでも近寄られたらバタバタしていた。「やばい、やばい」ってなると、相手ももっと寄せて来るし、狙われるんです。当時の気持ちと今の気持ちは全然違いますね。「来るなら来いよ」って思っている。寄せてきたら(ボールを)はたいて出られるし、ドリブルでかわせるという自分の中で自信というのができていますね。

城福 「最後はファウルもらうよ?」ぐらいの感覚はあるよね?

長友 確かにメンタル的にそこは大きく変わった感覚はありますね。やはり経験は大きいです。W杯もそうだし、(W杯の)最終予選もそうだし。あとはインテルに移籍した当時はすごいメンバーだったので、そういう選手とやってきたことが自分の経験となり自信となり、それが僕に落ち着きを与えてくれたと思います。イタリアはメディアも厳しいですし、ファンも容赦がない。あの中でやっていると、「どこに行ってもやれる」と、メンタル的にぶれることはなくなると思いますね。それは本田(圭佑/ミラン)も言っています。イタリア人やばいなって(笑)。

城福 佑都は助っ人でもあるし、「お前にこんなにも金を払っているんだぞ」っていうプレッシャーは容赦ないよね。

長友 イタリアのメディアは厳しいです。

城福 そういう意味では、日本のピッチのレベルがゆるいとは言わないけれど、周囲の環境は段違いだね。

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